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北海道厚真町で交流拠点づくり|おでん社長・近藤一郎氏が目指す「会いに行きたい」地域

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北海道厚真町で、二地域居住の受け入れや自治会館を使った交流拠点づくりに取り組む、おでん社長の近藤一郎氏。青森県八戸市から北海道へ渡り、約15年間漁師として働いた後、えりも町議会議員を2期4年務めた。現在は民間の立場から、行政、住民、旅行者をつないでいる。

同社が目指すのは、地域に残る人や場所の力を生かし、交流をじんわりと温め直すことだ。人が集う場所から仕事を生み、「あの人に会いに行きたい」と思われる地域をどうつくるのか。近藤氏に話を聞いた。(9月3日にオンライン取材。聞き手=ツーリズムメディアサービス特任記者、地域創生プロデューサー受講生 前田京子)

おでんの名に込めた地域像

――現在の活動に至った背景を教えてください。

近藤氏 漁師として地域で暮らし、町議として行政の仕組みを内側から見たことで、住民の思いだけでも、行政の力だけでも、地域の課題を解決することは難しいと分かりました。だから今は、行政と民間、地域の内と外をつなぐ立場で活動しています。

何事も面白がり、個性や笑いを大切にしながら、人が肩書を越えて話せる空気をつくる。親や先生とは異なる立場で子どもたちと関わる「第3の大人」でありたいと思っています。

――社名の「おでん」には、どのような思いを込めていますか。

近藤氏 おでん鍋には、形も味も異なる具材が入っています。仕切りがあることで、それぞれの個性を保ちながら、一つの鍋の中で調和しています。

地域も同じです。全員を同じにするのではなく、一人ひとりが自分らしく、適度な距離を保ちながら共に暮らせる環境をつくりたい。その思いを「おでん」という名前に込めました。

同社では、厚真町の観光ガイド、親子向けの滞在・体験プログラム、二地域居住モニターツアー「DUAL STAY ATSUMA」の滞在コーディネート、自治会館を使った「居酒屋マナビィ」の企画・運営などを行っています。

居酒屋マナビィは、利用機会が減った自治会館に住民が集まり、食事を囲んで交流する場です。地域に残る場所を使い直し、食材の提供や調理、運営を担う人の役割を生み出す。冷えかけた交流を、もう一度じんわりと温め直す取り組みです。

「会いに行きたい」地域へ

――活動を続けるうえで、どのような課題がありますか。

近藤氏 民間には行動の速さがありますが、個人の熱意や善意だけに頼る活動は長く続きません。関わる人が面白いと思え、仕事や収入にもつながる仕組みにする必要があります。

北海道大学公共政策大学院や「デスティネーション・マネージャー育成プログラム」で地域づくりを学びました。東京山側DMCとの出会いを通して、感覚的に捉えていた地域との関わり方を言葉にし、チームの共通言語として共有できるようにもなりました。

地域づくりは料理と同じです。同じ材料とレシピを使っても、つくる人によって同じものにはなりません。その土地の人や関係性を生かしながら、地域経済が循環する仕組みに整えることが課題です。

――今後、取り組みたいことを教えてください。

近藤氏 子どもの「生きる力」を育てる教育に取り組みたいと考えています。料理や掃除などの家事、地域の仕事、自然体験も、自分で考えて行動するための学びになります。

将来的には、マナビィを学びの拠点として活用し、子どもたちが親や先生以外の大人と出会える体験型ツアーをつくりたいです。観光、教育、地域の仕事を結び、参加者自身が地域の暮らしに関わる内容を考えています。

子どもに寄り添う近藤氏

――中長期的には、どのような地域を目指していますか。

近藤氏 観光客や移住者の数を増やすことだけが目的ではありません。訪れる人と暮らす人が互いの背景を知り、その関係から居場所や役割、仕事が生まれる地域を目指しています。

自然や食の魅力に加えて、そこに暮らす人との関係が、再び訪れる理由になる。「あの場所へ行きたい」だけでなく、「あの人に会いに行きたい」と思われる地域をつくることが目標です。

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