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インフルエンサーを活用した観光プロモーション動画、制作のポイント

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 「インフルエンサーの観光プロモーションで成果を出すにはどうしたらいいですか?」という問いを企業、自治体、DMOからよくいただく。その際に回答することは「インフルエンサーと地域の特性をマッチングすること」と伝えている。今回は、インフルエンサーを活用した観光プロモーション動画についてお話する。

インフルエンサーが制作するプロモーション動画とは

 今回は、ファンに対して認知から理解を促進することができるYouTuberの施策についてポイントをまとめておく。おおよそ8分〜と長尺でファンに対して深い情報を届けることができるのがYouTuber施策の強みで、どこで・いくらで・どのような体験ができるのか等の理解を促進することができる。影響力のあるYouTuberには多くのファンがひも付いており、発信すれば広く認知をとっていくことも可能である。

 当社が制作した「Introducing Our TOP Spots In Northern Japan, Tohoku( https://youtu.be/LnFX2RPfodk )」などの事例も参考にしてほしい。

インフルエンサーが制作する観光プロモーション動画のメリット

メリット①:コアファンにリーチできる

 YouTuberにはフォロワーつまりファンがひも付いている。つまり、旅について発信しているYouTuberには、観光プロモーション動画のターゲットである“旅好き”へのリーチが可能ということだ。登場人物・情報ともに興味関心の高い動画であるため、離脱する確率の低い熱量の高いコアファンに対して情報発信できるため、視聴時間は広告よりも圧倒的に長く、1再生数の質が良い。

 先日当社が1,006名の外国人に調査した結果でも、約7割がYouTubeで情報収集を行っているということが判った。

メリット②:アクションにつながりやすい

 視聴者視点のクリエイティブが作れるYouTuberは、常にフォロワーに刺さるのか?を大切にしている。つまり、広告だけれども広告らしくない楽しめる内容に仕立てた動画を作ることができるので、視聴者にとって面白く、長く見てもらえる動画となるケースが多い。どこで・いくらで・どのような体験ができるのか等の理解を促進することで、視聴者がイメージしやすく、行動につながりやすいのだ。

メリット③:資産となる

 配信された動画コンテンツは永続的に残り続けるが、公開からおおよそ1カ月で一気に再生数は高まる。その後もじわじわと再生回数は高まり続ける傾向にある。GoogleとYouTubeは連動しており検索からも流入が見込めるため、まさに旅をしようとしている顕在層に対してもリーチすることが可能である。また、コメントから旅マエのユーザーの傾向をみることができるため定性的な情報を得ることも可能である。

インフルエンサーが制作する観光プロモーション動画のデメリット

デメリット①:クリエイティブに対するコントロールがしづらい

 YouTuberはフォロワー視点で動画を作るため、時に発注者側からすると「もっとこういうことを言ってほしい」というリクエストがフォロワーにとってプラスに働かない場合はそのリクエストを受けられない場合がある。そのため、クリエイティブをコントロールした動画を作りたい場合は、YouTuberの動画は非推奨となる。クリエイティブ面はクリエイターに任せたほうが圧倒的に効果は出やすい。

デメリット②:撮影対象のコントロールがしづらい

 繰り返しとなるが、YouTuberはフォロワーを重要視する。発注者から「このスポットを紹介してほしい」というリクエストを受けても、フォロワーにフィットしないと判断した場合、断るケースも多い。そのため、事前に特定のスポット紹介がマストであればその旨を伝えておく必要がある。こちらも繰り返しとなるが、撮影対象に関してもクリエイターに任せたほうが圧倒的に効果は出やすい。

発注者側の役割

 発注者側の重要な役割は、地域の特長をインフルエンサーに対して伝えることである。地域の特性や推奨するスポットは住んでいたり、地域の事業に係わっているほど、データとしても反響が見えている部分があるはずである。そういった地元でしかわからない特長をYouTuberに対してインプットしていくことが重要なのだ。各土地の特長を理解したうえで情報発信を行うことで、情報発信の深みも生まれてくる。

成功事例

 7月7日は、和歌山・三重・奈良県「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界文化遺産に登録された日であるが、ちょうど記事を公開するタイミングと近いため三重県名張市のインバウンド観光プロモーション動画の事例を紹介したい。

 こちらの動画ではただ、観光スポット、忍者を紹介するのではなく、当時のトレンドであったオリンピックネタと絡めた「外国人忍者チームと日本人忍者チームを対決させる」という振り切った企画であった。通常、発注者はこういった思い切ったクリエイティブ企画にちゅうちょすることもあるが、企画にご賛同いただき見事に成果を出すことができた(再生数は26.7万回)。

We Trained At A Secret Ninja Village In Japan ft. @AbroadinJapan & Natsuki

 今回はインフルエンサーを活用した観光プロモーション動画の制作で成果を出すためのコツ、YouTuberの情報発信によるメリット、デメリットを紹介した。観光プロモーション動画制作という抽象度が高い課題に対して考える一助になればと思う。今後も、観光プロモーションに関連して多くいただく質問に回答していく記事を制作していくので参考になれば幸いである。

寄稿者 中川智博(なかがわ・ともひろ)Tokyo Creative㈱代表取締役

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