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観光地域づくり法人(DMO)と天王洲アイル#6 ~東京海洋大学との連携~

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 観光地域づくり法人として登録された一般社団法人天王洲・キャナルサイド活性化協会が、天王洲アイルの観光を推進する地域DMOとしてどのように活動していくのか。そのプロセスやミッションについて、第6回の連載になります。前回は、地域活性化イベントである天王洲キャナルフェスを継続的に開催することで水辺とアートのまち天王洲の素晴らしさを共感するファンが醸成され、ファンが新たなファンを呼び込むイベントを核としたまちのプロモーションが行われていることを述べました。今回は、国立大学法人 東京海洋大学と当協会のまちづくり連携協定についてご紹介いたします。

東京海洋大学 品川キャンパス(左)、品川キャンパス内のシンボル「雲鷹丸」
東京海洋大学 品川キャンパス(左)、品川キャンパス内のシンボル「雲鷹丸」

東京海洋大学と天王洲アイルの活性化

 天王洲アイルと運河を隔てて隣接する東京海洋大学は、2016年夏、天王洲キャナルフェスが初開催された時より、教育プログラムである「こども大学」を実施しております。当初は、天王洲アイルのまちの活性化を目的とした天王洲キャナルフェスを開催にあたり、こどもたちへの海洋教育を何かお願いできないかと相談したところ、東京海洋大学として応援していただけることになり、フェスにて「こども大学」が開講することになりました。

 初回の「こども大学」は、①「クジラと地球を生きるのだ・学ぼう」②「船の歴史」③「水辺の街、運河をキレイに」④「海の生き物、海を守る」―の4つの講座を小学生を対象に開講しました。どの講座もこどもたちを釘付けにする内容で、付き添いの親御さんたちも一緒に学ぶ、素晴らしい講座となりました。東京海洋大学の先生方は、こども向けに分かりやすい授業を行うために試行錯誤のうえ、とても苦労されて講義に臨んでいたことを後に知りました。また、スペシャルゲスト講師として日本の魚類学者、タレントであるとともに東京海洋大学客員教授であるさかなクンも教壇に立ち、こどもたちも大変喜んでいました。「こども大学」は、毎年、天王洲キャナルフェスの恒例の講座となりました。

東京海洋大学 電池推進船「らいちょうN」の体験乗船2018年
東京海洋大学 電池推進船「らいちょうN」の体験乗船2018年

東京海洋大学と天王洲・キャナルサイド活性化協会の連携協定を締結

 「こども大学」やさまざまな活動を通して、2019年、東京海洋大学と天王洲・キャナルサイド活性化協会は、教育文化活動と地域に貢献することを目的として連携に関する協定書を締結しました。協定の内容は、天王洲キャナルフェスにおいて、東京海洋大学として地域の活性化に貢献するとともに、こどもや地域の方々に東京海洋大学の教育・研究の内容を知ってもらう機会を創出すること。また、東京海洋大学キャンパス内にある「雲鷹丸(うんようまる)」をライトアップするなど、地域活性化の活動に協力や後援することを盛り込みました。この協定により、地域のイベントなどを通じて、教育、文化、スポーツの振興や、地域の環境保全、コミュニティの活性化、街づくり、人材育成を目指して、連携を推進していくことになりました。

 このような連携活動の結果、地域のこどもたちは、「こども大学」で、海についてさまざまな学びや体験をしました。特に2018年夏、電池推進船「らいちょうN」は、湾岸のまちで育つこどもたちに大きなインパクトを与えました。らいちょうNに乗船することにより、海の素晴らしさと未来のテクノロジーを体感で学びました。「こども大学」は、天王洲アイルのシンボルの一つになったのです。

天王洲キャナルフェス夏 2023「こども大学」の様子
天王洲キャナルフェス夏 2023「こども大学」の様子

大学との連携による地域活性化

 天王洲キャナルフェスの「こども大学」は、地域のこどもたちへ教育を推進することで、持続可能なまちのにぎわいにおいて、重要な役割を果たしてきました。水辺とアートの街に教育的な要素を組み入れたことにより、天王洲アイルの新たな魅力を創造しました。東京海洋大学は、「こども大学」で教育プログラムを提供することで、地域のこどもたちの教育を推進し、地域とのつながりを深められました。また、大学施設を地域へ紹介することにより、キャンパス内のミュージアムなどを身近に感じてもらえるようになりました。大学が、地域と連携することにより、より魅力的な天王洲アイルが誕生しました。

「こども大学」ウミガメってどんなカメ教室(左)、「こども大学」ニッポンの超深海って?教室
「こども大学」ウミガメってどんなカメ教室(左)、「こども大学」ニッポンの超深海って?教室

「こども大学」による故郷への思い

 地域の子どもたちにとって、夏に「こども大学」で学ぶことが、毎年待ち遠しい出来事になりました。今年で9年目になります。当時、小学生であったこどもたちは、大学生や社会人になりました。「こども大学」は、天王洲アイルの象徴的な学び場となり、成長したこどもたちにとって、ふるさとの夏の楽しい思い出となっています。「こども大学」を通じて、船舶・自然科学・物理学、生物学・社会学など、多くの学習を積み上げ、地域の学び舎として愛する気持ちが生まれ、天王洲アイルへのプロモーションにつながったのです。

「こども大学」音楽 DJ教室の様子
「こども大学」音楽 DJ教室の様子

大学との連携協定と観光地域づくり

 「こども大学」は、東京海洋大学の教育的なプログラムにより開講していました。現在は、大学の教育プログラムに加えて、音楽、体育、アート、建築などのさまざまな分野の授業が開講されております。東京海洋大学の築いた「こども大学」は、さまざまな派生を促しただけでなく、天王洲アイルに学術的な環境が整い、住民の方々は、知識の創出やイノベーションなど、新しいまちの魅力を意識するようになりました。今後も、東京海洋大学と地域コミュニティの絆を強くするような活動をしていきたいと考えています。そして、国内外の観光客が学術的な香りも漂う天王洲アイルで、学ぶ意識を感じてもらいたいです。

 今月は、天王洲キャナルフェス秋冬が開催され、今回も「こども大学」が開講します。観光DMOとして「天王洲らしさ」の大きな魅力の一つとなっています。

寄稿者 三宅康之(みやけ・やすゆき) (一社)天王洲・キャナルサイド活性化協会 / 理事長

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