政府は7月10日、2026年版観光白書を閣議決定した。白書は世界と日本の観光動向を分析するとともに、「働いてよし」の観光産業の実現に向け、宿泊業の人材確保と生産性向上をテーマとして取り上げた。
白書によると、2025年の訪日外国人旅行者数は4268万人(前年比15.8%増)、訪日外国人旅行消費額は9兆4549億円(同16.4%増)といずれも過去最高を更新した。また、日本国内における旅行消費額も37.6兆円(同9.6%増)と過去最高となった。
一方で、宿泊業では人手不足が深刻化している。宿泊施設を対象としたアンケートでは、72.2%が人手不足の状況にあると回答。宿泊業の年間賃金は全産業より低く、年間休日日数も少ない傾向にあるとして、人材確保が大きな課題と指摘した。
また、宿泊業の労働生産性は、従業員1人当たり付加価値額でみると全産業の7割程度にとどまり、教育・研修や設備投資、デジタル化への投資も十分ではないと分析。生産性向上と人材育成を一体的に進める必要性を示した。
白書では、人手不足により既存従業員の負担増やサービス縮小、事業拡大の断念に至る施設も少なくないと指摘。今後はDXや生成AIの活用、高付加価値化、従業員のスキル向上などを通じて、「働いてよし」の観光産業の実現を目指すとしている。
2026年度の観光施策では、訪日客の増加に伴うオーバーツーリズムへの対応や地方誘客の推進を目的に、7月1日から国際観光旅客税(出国税)を1人1000円から3000円へ引き上げた。税収を活用し、観光地の受入環境整備や出入国の円滑化、地域の文化・自然を生かした観光コンテンツ造成、訪日プロモーションなどを進める。