北海道北竜町は、食用として流通できない米などを原料とするバイオマスプラスチック「ライスレジン」を活用した取り組みを拡大している。農薬を50%以上節減して栽培する「北竜ひまわりライス」の包装袋に続き、町のオリジナル手さげ袋や「第40回北竜町ひまわりまつり」の記念うちわにも採用。40年近く続けてきた環境保全型農業を、観光や地域PRにも広げ、持続可能なまちづくりにつなげる。
「ひまわりライス」の米袋も米由来素材に
北竜町は「食べ物はいのち」を信念に掲げ、全国に先駆けて、個々の農家ではなく町全体で農薬使用量の削減に取り組んできた。1988年から安全・安心な米づくりを進め、1990年には「国民の命と健康を守る安全な食糧生産宣言の町」を宣言。現在の「北竜ひまわりライス」では、北海道の慣行基準と比べて農薬を50%以上節減するとともに、栽培履歴を公開し、一袋ごとのトレーサビリティを確保している。
こうした取り組みが評価され、2017年には「北竜ひまわりライス生産組合」が第46回日本農業賞の集団組織の部で大賞を受賞した。町ではさらに、食用として流通できない米を有効活用する「ライスレジン」に着目。昨年から「ひまわりライス」の包装袋に採用し、中身だけでなく包装にも米を活用する資源循環を進めている。
新ロゴ入り手さげ袋も「ライスレジン」に
2026年4月、北竜町は新たな町のロゴとキャッチフレーズ「次は、何を咲かそう。」を発表した。新たに制作した町のオリジナル手さげ袋では、町のイメージカラー「北竜イエロー」を基調に新ロゴをデザインし、素材にライスレジンを採用した。
農業分野で培ってきた環境への取り組みを、町のPRや日常的に使用するアイテムにも広げることで、食と環境を軸としたまちづくりの姿勢を発信する。
ひまわりまつり40周年、記念うちわも米から
観光分野にもライスレジンの活用を広げている。7月20日に開幕した「第40回北竜町ひまわりまつり」では、ライスレジンを使用した40周年記念うちわを制作し、来場者へ無料で配布している。ライスレジンを使用しているのはうちわの骨の部分で、米由来素材ならではの質感を通じ、町の環境への取り組みを身近に感じてもらう。
北竜町のひまわり畑には約200万本のひまわりが咲き、町を代表する観光資源となっている。農業だけでなく、観光客が手にするノベルティにも環境配慮型素材を取り入れることで、町を訪れる人にも持続可能な地域づくりを発信する。
40年近い環境保全型農業から次の挑戦へ
ライスレジンは、食用にならなかった米などを原料とするバイオマスプラスチック。これまで廃棄される可能性があった資源を活用し、石油由来プラスチックの使用量削減や環境負荷の低減につなげる素材となる。
北竜町が進める今回の取り組みは、長年続けてきた安全・安心な農産物づくりを起点に、米そのものの新たな利用方法を生み出そうとするものだ。
農薬節減米の生産から、米袋、町の手さげ袋、観光イベントの記念品へ。北竜町は、農業と環境技術、観光を結び付けながら、地域資源を循環させるまちづくりを進めている。