参議院議員会館で行われた記者発表会は、地方創生の新しい潮流を象徴する場となった。7月2日、茨城県八千代町・千葉県野田市・奈良県葛城市・石川県羽咋市・福井県高浜町の5自治体が、内閣府「地域未来交付金」を活用し、観光・産業・子育て支援を横断する広域連携プロジェクトを発表した。
この取り組みは、内閣府が掲げる「地方創生2.0」、地域産業の付加価値向上を軸に、地方の強い経済をつくるという新しい地域活性化モデルを体現するものだ。
国会議員4名が来賓として参加──広域連携への期待が示された
発表会には各自治体選出の国会議員が来賓として登壇し、地域の魅力発信と産業振興を後押しする姿勢を示した。

観光・産業・子育て支援を横断する広域連携は、国としても注目度が高い。各議員は「地域の魅力を外部の力と掛け合わせることで、新しい価値が生まれる」と語り、今回の取り組みが地域経済の新しいモデルになる可能性を強調した。
■地方創生大使に3名が就任──地域の魅力を“体験者の言葉”で発信
今回のプロジェクトでは、地域の魅力を生活者目線で発信する「地方創生大使」が新たに任命された。

平嶋夏海氏(元AKB48)
昨年に引き続き地方創生大使として就任した平嶋夏海氏。ツーリングで全国を巡る彼女ならではの視点で、地域の自然・食・人の魅力を伝える役割を担う。「実際に訪れて感じた“リアル”を届けたい」と語った。
新内眞衣氏(元乃木坂46)
テレビ・ラジオ・舞台など幅広く活動する新内眞衣氏。「しょうゆ文化の奥深さをもっと知ってほしい」とコメントし、食文化を軸にした地域発信に意欲を示した。
谷尻萌氏(タレント/フリーアナウンサー)
キャスター・タレントとして活躍中の谷尻萌氏。普段は情報を発信する立場ですが、今回は実際に現地に赴き、現地の方と触れながら想いを聞きその地域ならではの魅力を発信したいと語った。3名の起用は、行政発信では届きにくい層へ“体験者の言葉”で魅力を届けることを目的としている。
■公民連携大使:SHOW-WA/MATSURI
秋元康氏プロデュースの昭和歌謡リバイバルグループ「SHOW-WA」「MATSURI」が、地域事業者と商品開発を行う公民連携大使に就任した。多様なバックグラウンドを持つメンバーが地域の事業者を訪問し、観光・食・文化を掛け合わせた新商品開発に挑む。
地域のストーリーを音楽・映像と組み合わせて発信することで、観光誘客にもつながる可能性が高い。

■子育て応援大使:なつぴぴ氏・北山ひばり氏・aiei氏
子育て世代の移住・定住を促すため、SNSで強い影響力を持つ子育てインフルエンサーが就任した。
なつぴぴ氏(フォロワー76.1万人)
八千代町・野田市・羽咋市を担当。発表会ではこれから地域を訪問し、保育園や子育て施設に実際に足を運んで現場の声を拾いながら発信していきたいと語った。「子育てに役立つリアルな情報を届けられるのが楽しみ」と笑顔を見せ、地域の子育て環境を“体験者の視点”で伝える意欲を示した。

北山ひばり氏(フォロワー19.4万人)
高浜町を担当。発表会では、自身の幼少期に訪れた高浜町の海岸が“思い出の場所”であることを明かし、「今度は自分の子どもたちと同じ場所を訪れられると思うと、ワクワクが止まらない」と語った。家族の記憶がつながる旅は、まさにツーリズムの原点。彼女の発信は、ファミリー層の心に強く響くはずだ。

aiei氏(フォロワー55.6万人)
葛城市を担当。体調不良の為発表会は欠席されましたが、シングルマザーとして息子さんとのテンポの良いツッコミや可愛らしい掛け合いが多くのユーザーの共感を呼んでいる。歴史文化の強い葛城市とインフルエンサーの親子が生み出すイノベーションに期待も強い。

5自治体が描く“広域ツーリズム”の可能性
今回のプロジェクトは単なるPRではなく、観光・産業・子育てを横断する広域ツーリズムモデルとして注目される。
▪茨城県八千代町(野村 勇 町長)
農業と子育て環境の充実が町の魅力。広域連携により、地域資源を相互補完しながら新しい産業価値を創出し、若い世代が暮らしやすい町の未来を描く。
▪千葉県野田市(鈴木 有 市長)
醤油文化を中心とした食の魅力は全国に誇れる資源。地方創生大使と共に“食のまち野田”を再編集し、観光・産業の両面で新たな発信を生み出す。
▪奈良県葛城市(阿古 和彦 市長)
歴史文化と現代的なライフスタイルを融合させることで、地域の新しい魅力が生まれる。広域連携により、観光導線を広げ、地域経済の活性化に繋げたい。
▪石川県羽咋市(岸 博一 市長)
宇宙文化・農業・海という独自の資源が羽咋市の強み。公民連携大使との協働で、地域の物語性を高めて観光と産業の両輪で新しい価値を創出したい!
▪福井県高浜町(西嶋 久勝 町長)
海・自然・子育て支援が揃う町の魅力を広域連携でさらに磨いていきたい。
アイドルやインフルエンサーとの協働が“地域の化学反応”を生み、観光と移住促進の未来を広げたい。
これらの地域資源を横断的に結びつけることで、単独自治体では生まれない新しい観光体験が創出される。 さらにアイドルやタレント、インフルエンサーという個の力が加わることで、新たなイノベーションとしての観光の目玉や地域の新たな名産品が世の中に送り出されるかもしれない。
デジタル参加証で全国から参加可能──観光DXの新しい形
今回のプロジェクトでは、全国どこからでも参加できるよう、無償のデジタル参加証(先着1,000名)が発行されている。

参加者はオンラインコミュニティで
• 商品開発のアイデア提供
• デザイン投票
• 地域の魅力発信への参加
このようなことが可能になる。
観光DXの新しい形として、地域外の生活者が地域づくりに参加する仕組みが整備された。
地方創生2.0の本質──“体験者の共感”が地域を動かす
今回のプロジェクトは、観光・産業・子育てを横断しながら、地域の魅力を体験者の言葉で再編集する取り組みだ。
• アイドルが地域事業者と商品をつくる物語
• インフルエンサーが地域を訪れ、子育て環境を体験するリアル
• 5自治体が連携し、新しい価値を生む広域モデル
これらがSNSで可視化され、地域のブランド価値を高める。
観光は「情報」ではなく「共感」で動く。今回の取り組みは、地方創生2.0の象徴として全国の自治体に新しいヒントを与えるだろう。
地方創生2.0の本質は、地域の魅力を「行政の言葉」ではなく、「体験者の実感」で再編集して生活者に届けることにある。今回の5自治体による広域連携は、まさにその象徴だ。アイドルやインフルエンサーが地域に入り込み、事業者と共に商品を開発し、子育てに対してその地域の施設を訪れ、そのまちの記憶を自分の物語として語る。そのプロセスこそが地域の価値を新しく創り上げていくのだと思う。
なつぴぴ氏が「実際に保育園など現場に足を運び、子育てに役立つ情報を発信するのが楽しみ!」と語った言葉は、地域のリアルを伝える観光・移住促進の新しい形を示していし、北山ひばり氏が「幼少期の思い出の海岸を、今度は自分の子供たちと訪れることが出来ることにワクワクする!」と話した瞬間には、旅が世代をつなぐ力を持つことを改めて感じさせられた。
地域の魅力は、誰かの体験によって初めて“物語”になる。そしてその物語がSNSで広がることで、観光・産業・子育てが一体となった新しい地方創生が動き出す。
今回のプロジェクトは、地方創生2.0の未来を示すモデルケースとして、これからの地域ツールズムの可能性を大きく広げていくはずだ。
寄稿者 矢吹純(やぶき・じゅん)ライフスタイルメディアJOEIFULL 運営