買い手企業に特化したM&A支援を手掛けるByside(東京都千代田区)は9月1日、医療・介護M&Aを支援するMATCH POINTと業務提携し、「ヘルスケア支援室」を新設した。医療・介護領域で累計400件を超える成約実績を持つMATCH POINTの谷口慎太郎社長の知見を取り入れ、後継者不在に直面する医療機関や介護事業者と買い手候補企業とのマッチングを強化する。
買い手探索と医療・介護の専門知識を融合
Bysideは、買い手企業に特化したM&Aアドバイザリーを展開し、候補企業を探し出すマッチング力を強みとしてきた。ヘルスケア支援室では、提携するM&A事業者から紹介を受けた医療・介護分野の譲渡案件に対し、同社の専門チームとMATCH POINTの谷口社長らが連携して買い手候補の探索やM&Aの実行を支援する。
新組織では、こうした買い手企業へのアプローチに、許認可や行政手続き、診療報酬・介護報酬を踏まえた事業譲渡スキームの設計など、医療・介護業界特有の実務知識を組み合わせる。
医療機関で深刻化する後継者不足
新組織設立の背景には、医療・介護事業者の経営者高齢化と後継者不足がある。帝国データバンクの調査を基にしたCBヘルスケアのまとめによると、2025年度に休廃業・解散した病院、診療所、歯科医院は823件となり、10年前と比べ約2.3倍に増えた。
東京商工リサーチの調査では、2026年1〜6月に倒産した医療機関は38件で、前年同期比15.1%増となった。2006年以降の上半期として過去2番目の高水準で、倒産理由では「後継者難」が最多となっている。
経営状態に大きな問題がなくても、後継者が見つからなければ地域に必要な医療・介護サービスが失われる可能性がある。第三者への事業承継としてM&Aへの期待が高まる一方、医療・介護分野では許認可や報酬制度などへの専門的な対応も求められる。
累計400件超の医療・介護M&Aを経験
ヘルスケア支援室の室長を務める谷口慎太郎氏は、明治大学経営学部卒業後、東京三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)に入行した。外資系投資銀行やヘルスケア投資ファンドでの投融資、病院事務長としての医療機関再生などを経験している。
2009年に日本M&Aセンターへ入社し、医療介護専門チームの責任者などを歴任。2021年にはfundbookでヘルスケア専門組織を率いた。その後MATCH POINTを設立し、医療・介護に特化したM&Aアドバイザリーを展開している。医療・介護領域の成約実績は累計400件を超える。
9月1日にはBysideのオフィスで、同社のM&Aアドバイザーを対象に医療・介護業界のM&Aに関する勉強会も開いた。参加人数は公表していない。
「誰に承継するか」が地域医療の未来を左右
谷口氏は、経営が健全でも後継者がいないことを理由に地域に必要な医療機関が失われかねない現状を指摘。400件を超えるM&Aに携わる中で、「誰に承継するか」というマッチングの質が、その後の地域医療を大きく左右するとしている。
一方、Bysideの川畑勇人社長は、医療・介護を暮らしを支える重要なインフラと位置付ける。買い手企業に特化して培ってきたマッチング力とMATCH POINTの専門知識を掛け合わせ、地域医療を維持するだけでなく、将来にわたって継続できる形への再構築を目指す。
Bysideは今後、ヘルスケア支援室を通じて医療機関・介護事業者の事業承継支援を強化し、地域医療・介護の再生や新たな担い手づくりにつなげていく方針だ。