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金沢工業大、和倉御便殿修復へ 能登復興の文化拠点に

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金沢工業大学はこのほど、2024年能登半島地震で被災した石川県七尾市・和倉温泉の皇室建築「和倉御便殿」の修復・保存プロジェクトへの協力を始めた。建築学部建築デザイン学科の山崎幹泰研究室が建物の調査・分析と修復計画の検討を担い、2027年春の事業完了を目指す。文化遺産を守るだけでなく、和倉温泉の観光資源として再生し、能登の持続的な地域づくりにつなげる。

同プロジェクトは、アクサグループの社会貢献活動を担うアクサ・ヒューマン・プログレス財団と、文化遺産保全に取り組むワールド・モニュメント財団(WMF)が、七尾市、和倉温泉観光協会と連携して進める。和倉御便殿本殿の現・青林寺客殿と、供奉殿の現・信行寺書院を修復・保存するとともに、修復過程の記録制作や文化遺産保存に関する普及啓発にも取り組む。

現存する希少な皇室建築を未来へ

御便殿は、天皇や皇族が地方を訪れた際に休憩や宿泊に利用した施設を指す。和倉御便殿は1909年、大正天皇が皇太子時代に和倉を訪れた際に建設された。

こうした建物は役割を終えた後に解体される例が多い中、和倉御便殿は現存する国内唯一の事例とされる。現在は青林寺と信行寺へ移築され、地域の歴史を伝える建築として保存されている。

一方、2024年能登半島地震では和倉温泉を含む七尾市も大きな被害を受けた。同プロジェクトでは、被災した文化遺産を将来へ残すと同時に、復興後の地域を支える観光・文化資源として生かす狙いがある。

金沢工業大が建物を調査、修復計画を検討

金沢工業大学から参加する山崎幹泰研究室は、日本の伝統木造建築や歴史的建造物の保存・再生を研究テーマとし、科学的な調査と建築設計の視点を組み合わせた研究に取り組んできた。

同プロジェクトでは文化財建築の状態を調べ、分析結果をもとに修復方法や保存計画を検討する。歴史的価値を損なわず、長期的な保存と将来的な活用を両立させることが重要なテーマとなる。

さらに、フランス・ボルドー大学の研究機関「I2Mラボ」とも連携する。木造建築修復に関する専門知識を取り入れ、山崎研究室と協働しながら調査と修復を進める。

修復の過程も文化遺産として発信

同プロジェクトでは完成した建物だけではなく、「どのように文化財を守ったのか」という修復の過程そのものも記録する。

建物の調査や修復作業を記録し、文化遺産を保存する意義や技術を広く伝える普及啓発活動につなげる考えだ。文化財を過去の建物として保存するだけではなく、その歴史や技術を次世代へ伝える機会として活用する。

国際的な文化財保全団体や海外の研究機関、大学、行政、地域の観光関係者が協働することで、地域と専門家が連携した新たな文化財保全モデルの構築の実現を図る。

和倉温泉の観光再生と能登復興につなげる

和倉御便殿は歴史的建築としての価値に加え、和倉温泉の歴史や地域文化を伝える観光資源としての役割も担う。修復によって文化的価値を改めて国内外へ発信することで、地震からの復興を進める和倉温泉への来訪機会の創出も期待される。

文化遺産を地域の記憶として守りながら、観光や学びの場として次の世代へつなぐ。同プロジェクトは2027年春の完了を予定しており、能登半島地震からの復興と、文化遺産を核とした持続可能な地域づくりの象徴となることを目指す。

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