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北海道観光機構、リピーター誘客を強化 「行きたい場所」から「推したい旅先」へ

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北海道観光機構は9月28日、メディアや旅行会社を対象に「北海道情報交換会」を開催した。七飯大沼、十勝、池田町、釧路、網走、北見、富良野、札幌、当別などの地域・観光関係者に加え、星野リゾート、ウポポイ、丸駒温泉旅館、北海道庁など13団体が参加。各地域が秋冬を中心とした観光素材や新たな旅行商品を紹介し、プレゼンテーション後にはメディア、旅行会社との個別の情報交換も行った。

冒頭あいさつでは、北海道観光局観光振興課の村上浩樹主査が各地域から発信される「リアルな現地情報」を今後の取材や商品造成につなげてもらいたいと参加者に呼びかけた。北海道観光機構も、情報交換会を地域とメディアをつなぐ場と位置付け、テレビ、雑誌、ウェブ、SNSなどとのタイアップによる観光情報発信を強化していく考えを示した。

北海道観光局観光振興課の村上浩樹主査
北海道観光局観光振興課の村上浩樹主査

「行きたい場所」から「推したい旅先」へ

北海道観光機構は、北海道観光の課題として、閑散期の需要喚起、地域偏在の解消、リピート意欲の醸成を挙げた。札幌や小樽など定番地域だけでなく、道東・道北など各地域の魅力を発信し、道内周遊を促したい考えだ。

「令和7年度北海道来訪者満足度調査」では、道外から訪れた旅行者のうち、北海道への来訪回数が5回以上の層が43.3%を占めた。また、初めて訪れる人は札幌や小樽を中心に巡る一方、リピーターになるほど道東や道北などへ訪問先が広がる傾向がみられた。

今年度は「まだ知らない好きに会いに行く」を国内誘客のテーマに設定。ガストロノミーやアドベンチャートラベルに加え、心身のリフレッシュを目的とする「リトリート旅」、混雑を避けて場所や時間をずらす「時間差旅」などを打ち出し、「見る」から「没入する」旅行への転換を促す。

大沼、「函館からもう一歩」で滞在を促す

七飯大沼国際観光コンベンション協会は、大沼国定公園を「函館からもう一歩」足を延ばす旅行先として提案した。函館空港・函館駅から約50分、新函館北斗駅から約15分というアクセスを生かし、従来の景観観賞中心から体験型観光への転換を進める。

カヌーや森林散策、サイクリングのほか、冬には結氷した大沼をファットバイクで走る体験や、100年以上続く氷の切り出しを組み合わせた「氷上アドベンチャー」などを展開。教育旅行では地域を巡りながらミッションに挑戦するプログラム、MICEでは自然環境を使ったチームビルディングも用意する。今年4月には大沼DMO運営協議会を立ち上げ、「立ち寄る場所から目的地へ」を目指している。

十勝、寒さそのものを観光資源に

十勝観光誘致空港利用推進協議会は、冬の寒さを生かした体験を前面に出した。豊頃町の海岸に現れる「ジュエリーアイス」、然別湖コタン、凍った湖へ飛び込むサウナ体験「アヴァント」、十勝川温泉など、雪や氷と温泉、食を組み合わせた冬の滞在を紹介した。

今冬からは帯広駅南側で大規模なイルミネーションを実施する予定で、既存の氷まつりも光の演出を拡充する。また、12月1日には大阪・伊丹―とかち帯広空港の直行便が約17年ぶりに再開することから、関西圏からの誘客にも期待を寄せた。

池田町観光協会は、十勝ワインをはじめ、ワイン城、食、地域の歴史などをまとめた43枚の観光PRシートを作成。観光施設やワイン関係者ら30人が参加して観光素材を掘り起こし、メディアの取材素材や旅行商品造成への活用を呼びかけた。

釧路、タンチョウやSLで冬の道東周遊

釧路観光コンベンション協会は、冬のタンチョウを代表的な観光素材として紹介した。釧路・鶴居エリアには特徴の異なる観察地があり、冬季だけでなく通年で観察できる施設もあるという。

冬限定の「SL冬の湿原号」や、雪と毛嵐の中を進む湿原カヌー、結氷した阿寒湖でのスノーモービルやワカサギ釣りなども提案。さらに、釧路空港から入り、阿寒・摩周、知床・網走を巡って女満別空港から帰るなど、複数空港を利用した広域周遊を旅行会社に提案した。

網走、流氷だけでない新しい観光素材

網走市観光協会は、冬の流氷に加え、新たな観光素材を紹介した。能取岬には「旅人の願いを叶える」をテーマに鐘とホタテ貝の絵馬を設置。冬には流氷を背景に楽しめる新たな撮影スポットとして発信する。

市内では約40年ぶりとなる酒蔵「北緯44度」の開業準備も進み、12月ごろの新酒販売を予定する。このほか、寿司職人から握り方を学んだり、カニをさばいたりする少人数型の「プロフェッショナルスクール」など、地域の職人と直接触れ合う体験も紹介した。

北見市観光協会は「焼肉の街」を観光コンテンツとして発信。真冬の屋外で約2000人が焼肉を楽しむ「北見厳寒の焼き肉まつり」に加え、10月1日からは市内の焼肉店を気軽に利用できる「北見焼肉ミートクーポン」を展開し、「北海道旅行の3泊のうち1泊は海鮮ではなく北見の焼肉を」と提案した。

星野リゾート、スキー人口減少に新たな体験

星野リゾートは、国内のスキー・スノーボード人口が減少する中、初心者や子ども、スキーをしない旅行者にも雪山を楽しんでもらう取り組みを紹介した。

トマムではウェアから小物までをレンタルできる環境を整え、子どもがゲーム感覚で滑走技術を学ぶ「アドベンチャーマウンテン」を展開。スキーをしなくても、霧氷を眺める展望施設や氷の街「アイスヴィレッジ」を楽しめる。北海道中央部のスキー場を結ぶ「北海道パウダーベルト」も活用し、海外市場を含めた冬季誘客を進めている。

富良野、ワインと食を新たな滞在価値に

富良野観光協会は「新時代の富良野」をテーマに、ワインと食、自然を組み合わせた観光を紹介した。富良野ワインは、日本ワインコンクールで北海道産の赤ワインとして初の金賞を受賞したと説明。ワイナリーを巡るツアーや、ブドウ畑を眺めながら地元料理とワインを味わう体験などを展開する。

新千歳空港―富良野間では1日4便の直行バスが運行し、富良野駅からスキー場を結ぶ新路線も今冬から運行。スキーをしない旅行者向けには犬ぞりなども提案し、冬の滞在の幅を広げる。

札幌・当別、都市近郊にも体験型観光

札幌市は「都市と自然が車で1時間圏内でつながる街」を打ち出した。定山渓温泉では、新型モビリティによる周遊や雪見テントサウナ、冬のラフティングなどを展開。都心部では札幌雪まつりや2027年札幌国際芸術祭などを組み合わせ、冬季の長期滞在を促す。

札幌近郊の当別町は、ロイズの工場・体験施設に加え、伊達家の歴史を生かした甲冑の着付け、薪割りや伐採などの「伊達開拓体験」、食文化を再現した「当別伊達御膳」などを紹介。見学だけでなく、歴史を実際に体験する商品造成を旅行会社に提案した。

ウポポイ、冬の「全天候型」観光を提案

民族共生象徴空間「ウポポイ」は、新千歳空港から約40分というアクセスと、屋内プログラムの充実を強みに、冬の旅行商品への組み込みを提案した。

刺繍や木彫り、伝統芸能、弓矢などの体験に加え、秋の紅葉や冬季限定プログラムも展開。国立アイヌ民族博物館を含め、天候に左右されにくい施設として訴求する。また、一般国内旅行の団体料金の適用を従来の20人以上から10人以上に変更し、小規模グループにも対応しやすくした。

支笏湖、秘湯とサウナを新たな誘客材料に

丸駒温泉旅館は、新千歳空港から車で約40分の支笏湖を紹介した。旅館では湖とつながる天然露天風呂のほか、周辺の間伐材をペレット燃料として使うサウナを整備。サウナ後に支笏湖へ入る体験も提供する。

1915年創業の歴史を持つ一方、電気や水道に頼らず、自家発電や湖水を活用して営業する「オフグリッド」型の運営も紹介した。今冬には電力を使わないフィットネス設備も導入予定で、秘湯とサステナブルな滞在を組み合わせた新たな魅力として発信する。

各地域のプレゼンに共通したのは、北海道の定番である「自然・食・温泉」を紹介するだけでなく、そこで何を体験できるか、地域の人や文化とどう関われるかを観光商品として打ち出す動きだ。リピーターの多い北海道だからこそ、「まだ知らない北海道」を次の旅行理由にできるか。北海道観光機構はメディアや旅行会社との連携を通じ、地域への周遊と閑散期の需要創出につなげていく。

取材 ツーリズムメディアサービス(TMS)代表 長木利通

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