沿線まるごと(東京都奥多摩町)とみどり市、東京海上日動火災保険群馬支店、エーゼログループの4者は10月29日、「自然資本を活用した地域づくりに関する連携協定」を締結した。群馬県みどり市の課題である鳥獣害対策とジビエ活用を起点に、自然を守る取り組みを地域の仕事や交流につなげる仕組みづくりを進める。
同協定は、先人から受け継いだみどり市の豊かな自然と地域資源を次世代へつなぐことを目指すものだ。4者がそれぞれの知見、技術、人的ネットワーク、資源を持ち寄り、市民・事業者・行政の共創によって、自然資本と地域資源の価値向上、地域産業の振興、交流人口・関係人口の創出、地域経済の循環を進める。
「関東初」の三者連携で森林保全から産業化まで
みどり市は群馬県東部に位置し、北部に足尾山地の森林が広がり、市内を渡良瀬川が流れる自然豊かなまちだ。「関東の耶馬渓」とも呼ばれる高津戸峡やわたらせ渓谷鐵道などの景観に加え、岩宿遺跡や富弘美術館などの歴史・文化資源にも恵まれ、首都東京から100キロメートル圏内にある。一方でイノシシやシカによる農林業被害が課題となっており、市は捕獲した鳥獣をジビエとして活用する取り組みを進めている。
みどり市の須藤昭男市長は「市内に整備するジビエ処理加工施設を核に、鳥獣被害対策としての駆除を地域資源と捉え、地域経済を支える新たな産業へと転換する」と狙いを説明。地域リスク管理を担う東京海上日動、ジビエ事業のプロフェッショナルであるエーゼログループ、無人駅や古民家を生かした地域ブランディングを手掛ける沿線まるごとの三者との連携を「関東初の試み」と位置づけた。
青梅線沿線のノウハウをみどり市に
沿線まるごとは、2020年度からJR青梅線沿線の東京都青梅市や奥多摩町で、鉄道沿線全体を一つのホテルに見立てる滞在型観光「沿線まるごとホテルプロジェクト」を手掛けてきた。2023年9月には第7回ジャパン・ツーリズム・アワードで最高賞の国土交通大臣賞を受賞している。
同協定の締結を機に、これまで培ってきた体験づくりや顧客との関係構築のノウハウを、みどり市の自然や食と掛け合わせる。嶋田俊平社長は「地域内の鉄道会社とも連携しながら、何度も地域に通いたくなる魅力的な体験をプログラム化、商品化、事業化できるよう尽力する」とコメントした。
エーゼログループは、岡山県西粟倉村をはじめ各地で自然資本の価値を地域の仕事や暮らしにつなげてきた。牧大介CEOは「森からいただく命を食や体験として大切に活かし、この地の自然をよりよい形で次世代へ手渡していける仕組みを育てる」と語った。東京海上日動群馬支店の上杉克支店長は「保険事業を通じて築いてきた信頼とつながりを生かし、多様な主体の連携を後押しする」と述べ、4者で構想の具体化を進めていく考えを示した。