国土交通省は10月27日、2026年度「地域づくり表彰」の受賞9団体を発表した。総合的に最も優れた取り組みに贈る国土交通大臣賞には、千葉県市原市の「ウエルコミ」、三重県南伊勢町の「南伊勢町二地域居住推進チーム」、長崎県佐世保市の「Sasebo Change(サセボチェンジ)」の3事例を選出した。
同表彰は、創意工夫ある地域づくりの優良事例を表彰するもので、1984年度に始まり、今回で43回目。今年度は全国から54団体が推薦された。地域の交流拠点づくりや二地域居住の推進、若者の活動を次世代へ引き継ぐ仕組みなどが評価された。
日常の買い物空間を、市民活動の拠点に
市原市のウエルコミ(ウエルシア・コミュニケーションセンターいちはら)は、ドラッグストアの遊休スペースを活用した地域交流拠点。市、企業、中間支援を担うNPO法人の三者協働で運営し、子育て支援や高齢者の健康づくり、多世代交流などを展開している。
場所の提供にとどまらず、市民団体や企業、行政、大学をつなぐコーディネート機能が特徴。子どもの居場所づくりに関わる団体が、ほぼゼロから44団体超へ増えるなど、市民活動の裾野を広げてきた点が評価された。
二地域居住を、地域の担い手づくりへ
南伊勢町二地域居住推進チームは、「まちを一つの家に見立てる」という発想で、地域外の人が継続的に町と関わる仕組みを構築。空き家を再生した「うみべのいえ」を拠点に、キッチンやリビング、アトリエなどの機能を分散配置し、関係人口や二地域居住者の活動を支えている。
地域法人や漁業人材育成団体、行政などが連携し、漁業、観光、創業、地域活動といった多様な接点を用意。定住への誘導を前提とせず、一人ひとりに合った関わり方を提案している。二地域居住を移住の前段階ではなく、新たな担い手を生む仕組みと位置付け、漁業研修を経た就業や空き家を活用した事業創出などにつなげた。
高校生の挑戦を、卒業後も地域に引き継ぐ
佐世保市のSasebo Changeは、高校生有志による学校横断型の活動から始まった地域共創コミュニティ。日米高校生交流や英語プラネタリウム、地元鉄道の活性化企画、高齢者との交流など、若者自身が地域課題の解決や新たな価値づくりに挑戦している。
卒業生もオンラインや帰省時に活動を支え、中間支援組織の設立や高校生ボランティア養成講座へと発展。活動で得た経験やネットワークを次の世代へ引き継ぎ、一過性の活動に終わらない人材育成の仕組みを構築した点が評価された。
白川湖の水没林保全など、計9団体を選定
このほか、全国地域づくり推進協議会会長賞には「山立会」(石川県白山市)と「地域維持レスキュー®」(和歌山県有田川町)を選定。全国二地域居住等促進官民連携プラットフォーム賞は「三島信用金庫・合同会社うさぎ企画」(静岡県三島市)、国土計画協会会長賞は「青海ボランティア隊」(愛知県常滑市)が受賞した。
日本政策投資銀行賞には、白川湖の水没林を巡る観光収益を景観保全や受入環境整備に還元する「水没林ワーキング」(山形県飯豊町)、審査会特別賞には「広島地区活性化協議会」(香川県丸亀市)が選ばれた。
審査会は総評で、地域課題を具体的に捉え、共感できるコンセプトと実際に活動を動かす仕組みを組み合わせる重要性を指摘。特定の個人の熱意に依存する形から、組織やチームで活動を継承する形への発展にも注目した。