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フィンエアーがプレスデーを開催、危機を乗り越え成長戦略を提示

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フィンエアーは2月、インターナショナルプレスデーを開催し、同社の戦略、ネットワーク拡大、顧客体験の進化について説明した。2019年以来7年ぶりとなる対面形式での実施で、トゥルッカ・クーシストCEOをはじめ経営陣が一堂に会する機会となり質疑応答では多くの質問が寄せられた。その内容をリポートする。

危機を乗り越え堅調に成長

会場はヘルシンキから車で30分ほどのヌークシオ国立公園内のハルティア自然センター。登壇したクーシスト氏は冒頭、この会場選びにはフィンランドらしさを伝える意図があると話し、来場者に配られた手製のウールソックスや森のなかの静寂や落ち着き、温かみのあるもてなしの文化を印象づけた。

1923年創業のフィンエアーは、今年103周年を迎えた。世界でも有数の歴史を持つ航空会社であり、約5800人の従業員による家族的な組織文化を特徴とする。その根底には、フィンランド特有の精神「シス(Sisu)」がある、とクーシスト氏。

「シス」とは困難な状況でも粘り強く前進するフィンランド特有の価値観のことで、パンデミックとロシア上空の空域閉鎖といった二重の危機をもこのシスをもって乗り越えたという。従来強みとしていた欧州/アジア間を10時間以内で結ぶ最短ルートが使えなくなったことで、同社の優位性は大きく揺らいだ。しかしながら、長距離ネットワークの再構築と東西の地域バランスの見直しにより、回復への道筋を確立。2025年には1億2000万〜1億3000万ユーロ規模の利益を見込むまでに至っている。

これにはフィンランドの観光需要が拡大していることが追い風となっており、宿泊数は720万泊(前年比+12%)、外国人宿泊は510万泊(+10%)と欧州平均を上回る成長を示しているという。主なインバウンド客は日本、中国、インド、台湾、米国、豪州といった長距離路線利用者で、今後のネットワーク戦略にも反映されている。

路線拡大とデジタル化に注力

現在は欧州約87都市、アジア12路線、北米7都市へと展開しているが、2026年には14の新規就航地を予定しているという。特に日本は重要な市場であり、現在欧州の航空会社としては最大の便数を供給する。同社最高収益責任者(CRO)クリスティーン・ロヴェリー氏によると、この夏のスケジュールでは週28便に増便する計画。円安による渡航者の減少や中東航空会社との競合といった懸念にもプライシングや「フィンランドブランド」により対抗する自信があるとした。

日本路線に関しては緩やかではあるが回復傾向にあり、長期的に収益モデルを構築していく。また、今後はトロント線の再開やメルボルン路線の新設など、さらなる拡充も計画。10月に就航を予定しているメルボルン線はバンコクを経由することで機材効率を最適化することができるといい、新しいデスティネーションとして大きな期待が寄せられている。

ロシア領空閉鎖の継続を前提とした新戦略は「利便性」「信頼性」「選択肢」「エンゲージメント」の4つを柱とし、顧客中心のビジネスモデルを強化している。たとえば、顧客データを活用し、個々のニーズに応じたサービス提供を目指し、「モダンリテーリング」を導入。座席や付帯サービスを柔軟に組み合わせる販売手法へと転換することで顧客満足度の向上を図る。

また、現在ではチケットの約70%がオンライン経由で販売されていることを受け、販売チャネルのデジタル化も進められている。新たに多言語対応のチャットボット『SISU』も導入し、顧客対応、運航判断、価値創出の各領域でAIを使用することで成果が出始めているという。

これは単に人手不足の解消に役立てているわけではなく、特にフィンランドでは人を介することなく手配ができることに利点を見出すため、たとえばスナック類の機内販売でも座席の手元で決済まで行えるサービスを導入したところ非常に評価が高いという。顧客満足度指標となるNPSも向上しているといい、AIやデジタル化には今後も力を入れていく方針だ。

フィンランドらしさを打ち出すブランド戦略

 新たに刷新されたブランド戦略では、「フィンランドらしさ」を前面に押し出している。先述したように、森の静けさや落ち着き、信頼性や質の高さといったフィンランドが持つイメージをそのまま機内体験へと転換させる。

 このプレスデーで初めて披露されたサウンドスケープもそのひとつで、フィンランドをイメージしたメロディが機内で流される。作曲には世界的にも著名なフィンランド出身の音楽家ラウリ・ポッラ氏を起用し、フィンランドの楽器「カンテレ」を用いた幻想的な音色に仕上がっている。2月27日より搭載されており、フリークエントフライヤーにとってはおなじみのフィンエアーのテーマ曲となるだろう。多くの旅行者にとって航空機は最初のフィンランド体験となる。「すでにフィンランドにいるような体験」を追求していく。

情報提供:トラベルビジョン(https://www.travelvision.jp/

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