「ホテル木下秋田男鹿駅前」の開業を記念した「北前船交流拡大機構 祝賀の集い」第2部が4月24日、同ホテルで開催され、自治体首長、議員、観光・経済関係者ら約120人が参加した。会場では、秋田県男鹿市や北前船交流拡大機構を軸とした地域連携や観光振興について意見が交わされたほか、洋上風力発電や広域観光など新たな地域連携の可能性についても議論が広がり、男鹿を起点とした交流拠点化への期待が高まった。
男鹿で開業を決断した先見性と英断に敬意
第2部の開会あいさつで、北前船交流拡大機構理事長代行の森健明氏は、「全国各地から多くの方々に集まっていただき感謝したい」と述べ、祝賀の集いの開会を宣言した。
森氏は、自身が初めて男鹿を訪れた際の印象について触れ、「温泉や観光地、駅前整備、道の駅など、地域資源はそろっているのにホテルがないと言われていた」と振り返った。その上で、「本当にホテルができるのかと思っていたが、こうして実現したことに大きな意味がある」と述べ、ホテル木下秋田男鹿駅前の開業を歓迎した。
また、第1部について「単なる祝賀会ではなく、観光や企業経営、地域づくりについて多くの気づきやヒントが得られる内容だった」と評価。「まさにフォーラムのような場だった」と語った。北前船交流拡大機構が10月に新潟県で開催予定のフォーラムにも言及し、「全国から多くの人が集まるからこそ、行政や企業活動に役立つ“来てよかった”と思える場にしたい」と説明。「今日の男鹿での取り組みは、次回フォーラムに向けても大きな示唆になった」と期待を示した。
最後に、「ホテル開業に向け強いリーダーシップを発揮した菅原広二市長と、男鹿での開業を決断した木下グループの木下直哉社長兼グループCEOの先見性と英断に敬意を表したい」と述べ、北前船交流拡大機構を代表して感謝を伝えた。

北前船は新たな価値を生み出す運動
続いてあいさつした北前船交流拡大機構参与の浜名正勝氏は、「今日のこの素晴らしい日を皆さんと一緒に祝えることを嬉しく思う」と述べ、ホテル木下秋田男鹿駅前の開業を祝福した。
浜名氏は、コロナ禍の最中に秋田で開催された北前船フォーラムを振り返り、「木下グループのPCR検査を受けながら大会を開催した」と説明。その際、菅原広二市長が木下直哉社長に男鹿へのホテル進出を熱心に働きかけていたことを明かし、「その場に同席していたので、こうして実現したことを本当にうれしく思う」と語った。
また、「北前船の運動は単なる一過性のイベントではなく、新しい価値を創造する活動」と強調。今回のホテル開業についても、「北前船ネットワークから生まれた新たな価値の一つ」と位置付けた。第1回酒田大会から参加してきた参議院議員の横山信一氏をはじめ、北海道から約10人が参加していることを紹介。「北前船を通じて地域間のつながりが広がり、北海道各地でも大会開催へ発展していった」と振り返りながら、参加者へ今後の連携を呼びかけた。

北前船ネットワークの広がりを実感
祝辞に立った岡山県備前市前市長の吉村武司氏は、「北前船交流拡大機構の活動によって、日本は北海道から沖縄までつながっている」と述べ、全国へ広がるネットワークの意義を強調した。
また、「日本の真ん中には岡山県があることも忘れないでほしい」とユーモアを交えて語り、北前船交流拡大機構の兄弟組織である地域連携研究所自治体会員共同会長を務める岡山県岡山市の大森雅夫市長の存在にも言及。「地域同士がつながり合い、新たな交流が生まれていることこそ、この運動の大きな価値」と述べた。
さらに、ホテル木下秋田男鹿駅前の開業を祝福するとともに、「北前船ネットワークを通じて、これからも地域間交流をさらに広げていきたい」と期待を寄せた。

地域固有の魅力を“感動”へ
続いて祝辞を述べた観光庁観光資源課長の矢吹周平氏は、「男鹿市にとって悲願だったホテル開業に敬意を表したい」と述べ、長年にわたる地域の取り組みを評価した。
矢吹氏は、「地方部に観光客を呼び込むことは観光庁の大きな悲願」と説明。現在も宿泊需要の多くが三大都市圏に集中している現状に触れ、「地域には必ず固有の文化や生活、食、伝統工芸など、その土地にしかない魅力が存在している」と強調した。その上で、「観光庁としても、地域固有の魅力を磨き上げ、地域の価値向上につながる取り組みを支援していきたい」と述べた。
AI時代の到来にも言及し、「これから人間に求められるのは“感動”になる」と指摘。「地域ならではの魅力を感動体験へとつなげていくことが、これからの観光の価値になる」との認識を示した。最後に、「多くの関係者と交流しながら学びを深めたい」と語るとともに、ホテル木下秋田男鹿駅前の開業を祝福した。

続いて、主催者を代表して北前船交流拡大機構専務理事の浅見茂氏が登壇。浅見氏は全国から参集した約120人の参加者を紹介した。

参加者紹介の途中では、木下グループの木下直哉社長兼グループCEOが登壇し、同グループが関わるマイケル・ジャクソンの伝記映画について紹介する一幕もあった。木下氏は、「ぜひ家族や友人にも紹介してほしい」と呼びかけた。また、「アメリカでは前日に公開され、ヨーロッパでも伝記映画として高い評価を得ている」と説明した。“キング・オブ・ポップ”と呼ばれたマイケル・ジャクソンの物語を描いた映画『Michael/マイケル』は、日本では6月12日に公開が予定されている。
ホテル開業と男鹿、秋田の発展願い乾杯
乾杯の発声は、秋田県商工会連合会会長の大森三四郎氏が務めた。
大森氏は、過去に参加した北前船フォーラムを振り返りながらユーモアを交えて会場を和ませた後、「ホテル木下秋田男鹿駅前の開業、誠におめでとうございます」と祝意を表明。ホテル誘致に尽力した菅原広二市長や、開業を決断した木下グループの木下直哉社長兼グループCEOに敬意を示し、「秋田県民を代表して感謝申し上げたい」と述べた。
その上で、「木下グループとホテルのさらなる発展」「男鹿市の発展」「秋田県および参加者の繁栄と健康」の三つを願い、会場の参加者とともに乾杯を行った。

秋田観光「今年度しっかり変える」
歓談を挟み、来賓あいさつでは7人が登壇した。
最初にあいさつした秋田県副知事の谷剛史氏は、「ホテル木下秋田男鹿駅前の開業は本当におめでたい」と祝意を表するとともに、木下グループの木下直哉社長兼グループCEOへ感謝を述べた。第1部で講演した跡見学園女子大学准教授の篠原靖氏による提言にも触れ、「秋田県観光について厳しくも温かい指摘をいただいた」と振り返った。
谷氏は今後の秋田県の観光について、「今年度しっかり変わる。変えていきたいと思っている」と述べ、観光施策の転換に意欲を示した。参加者に向けては、「北前船交流拡大機構の皆さまには、引き続き秋田県への支援をお願いしたい」と協力を呼びかけた。

伝統工芸と地域連携を世界へ発信
続いてあいさつした新潟県村上市長の高橋邦芳氏は、ホテル木下秋田男鹿駅前の開業を祝福するとともに、「男鹿の魅力を改めて実感した」と述べた。今年10月に新潟県で開催予定の北前船フォーラムについて触れ、「村上市でもエクスカーションを実施したい」と説明。「ぜひ多くの方に新潟へ足を運んでほしい」と呼びかけた。
高橋氏は、村上市でも洋上風力発電事業が進んでいることを紹介し、「男鹿で生まれた流れを新潟にもつなげていきたい」と期待を表明。木下グループによる地方展開にも期待感を示した。加えて、村上市、酒田市、鶴岡市、加賀市の4市が連携し、イタリアで伝統工芸品を展示している取り組みにも言及。「日本の誇りである伝統工芸を、世界へ発信していきたい」と述べ、地域連携による価値発信の重要性を強調した。

秋田と山形、地域連携で発展へ
山形県議会議員の菊池文昭氏は、ホテル木下秋田男鹿駅前の開業と北前船交流拡大機構祝賀会の開催を祝福した。秋田県美郷町出身であることを紹介した菊池氏は、「故郷・秋田でこのような祝賀の場に参加できることをうれしく思う」と述べ、木下グループへの感謝を表明した。コロナ禍で木下グループが展開したPCR検査事業について触れ、「山形市でも仙台とほぼ同時期に検査場を開設することができ、大変お世話になった」と回顧。「地域にとって大きな支えだった」と振り返った。
山形県の特産であるサクランボについても触れ、「ここ2年は不作が続いたが、今年は回復を期待している」と紹介。「山形と秋田が連携しながら、地域を盛り上げていきたい」と語った。結びに、「木下グループのさらなる発展と、参加者の皆さまのご健勝を祈念したい」と述べ、祝辞を締めくくった。

“現代の北前船”として地域振興支援
日本航空執行役員の西原口香織氏は、ホテル木下秋田男鹿駅前の開業を祝福するとともに、「男鹿の新たな交流拠点として大きな役割を果たしていくのではないか」と期待を示した。また、日本航空が4月から男鹿市へ社員1人を出向させていることを紹介し、「男鹿の皆さまと一緒に地域の未来づくりに取り組んでいきたい」と説明。「地域振興に少しでも力を尽くしていきたい」と語った。
ホテル開業については、「男鹿の魅力を発信する大きな拠点になる」と評価。「日本全国、さらには世界中から多くの人が訪れ、地域の活力向上につながることを期待している」と述べた。さらに、「現代の北前船は航空や鉄道」と表現し、「航空会社としてJRとも連携しながら地域振興に取り組んでいきたい」と強調。最後に、ホテルのさらなる発展と盛況を祈念した。

男鹿への熱意がホテル開業を後押し
秋田銀行取締役専務執行役員の三浦力氏は、「男鹿出身者として、このホテル開業を非常に感慨深く感じている」と述べ、ホテル木下秋田男鹿駅前の開業を祝福した。
三浦氏は、数年前に菅原広二市長からホテル誘致の相談を受けたことを振り返り、「木下グループ本社を訪問し、担当者との面談を予定していたが、木下直哉社長自ら時間を取って対応いただいた」と説明。その際、「男鹿への熱い思いを直接聞き、何とか役に立ちたいと思った」と語った。「自分自身も少しだけホテル建設に関わらせてもらった」と振り返りながら、「こうして開業の日を迎えられたことを本当にうれしく思う」と述べた。また、「このホテルが男鹿市の未来を明るく切り開く存在になってほしい」と期待を寄せるとともに、木下グループへの感謝を伝えた。

ホッキョクグマ、駅伝、食で男鹿発信
秋田魁新報社専務取締役総合営業本部長の泉一志氏は、「男鹿には全国へ発信できる魅力が数多くある」と述べ、地域資源を活用した情報発信への期待を示した。男鹿水族館GAOで誕生したホッキョクグマの赤ちゃんに触れ、「全国的な話題になっている」と紹介。「東京ではパンダが見られない状況もあり、多くの人が男鹿へ足を運ぶきっかけになるのではないか」と期待を寄せた。
また、秋田魁新報社が関わる全国男鹿駅伝についても紹介。「YouTube配信では1回あたり10万回程度視聴されている」と説明し、配信を通じて全国へ男鹿の魅力が広がっていることを伝えた。高級魚の養殖事業にも取り組んでいることを明かし、「将来的にはホテル木下で提供し、新たな食の魅力として発信したい」と述べた。泉氏は結びに、「観光、スポーツ、食などを通じ、男鹿全体のブランド力向上につなげていきたい」と語り、地域一体での魅力発信に意欲を示した。

男鹿観光の新たな拠点に期待
最後にあいさつした北都銀行常務執行役員の安達光氏は、「ホテル木下秋田男鹿駅前の開業は本当におめでたい」と祝意を述べた。安達氏は、自身の妻が男鹿出身であることを紹介し、「男鹿には縁を感じている」と語りながら、「義理の両親より先にホテルへ宿泊することになった」とユーモアを交えて会場を和ませた。ホテル内で提供される朝食にも期待を寄せ、「男鹿の魅力を感じられる滞在になることを楽しみにしている」とコメントした。
男鹿については、「観光ポテンシャルが非常に高い地域」と評価し、「このホテルが観光発信の拠点となり、地域活性化につながっていくことを期待している」と述べた。北都銀行としても「微力ながら応援していきたい」と語り、祝辞を締めくくった。

会場では花束贈呈も行われ、ホテル木下秋田男鹿駅前を開業した木下グループの木下直哉社長兼グループCEOへ、妙乃湯・都わすれ女将の佐藤京子氏から花束が手渡された。また、長年にわたりホテル誘致に取り組んできた男鹿市の菅原広二市長にも、北前船交流拡大機構専務理事夫人の浅見伸子氏から花束が贈られ、会場から大きな拍手が送られた。

ホテル開業で築いた交流の輪、次回は新潟フォーラムへ
閉会あいさつに立った秋田県小坂町の細越満町長は、「北前船交流拡大機構の立ち上げには、小坂町観光大使を務めていた関係者が深く関わっていた縁がある」と振り返り、「山の町ではあるが、これまでこの活動を応援してきた」と語った。
北前船交流拡大機構を通じながら全国各地と交流が広がっていることに謝意を述べながら、地域間連携の意義を強調。ホテル木下秋田男鹿駅前の開業についても、「男鹿の新たな発展につながる大きな節目」として祝意を示した。
また、「まだ話し足りない方も多いと思うが、全国から集まった皆さんが交流を深めること自体に大きな意味がある」と述べるとともに、「次回の北前船フォーラムは新潟で開催予定となっている。ぜひ再び多くの皆さんに参加いただきたい」と呼びかけ、参加者の健康と今後の交流拡大を祈念した。

最後は、参加者全員による三本締めで祝賀の集いを締めくくり、会場は大きな拍手に包まれた。
次回の「北前船寄港地フォーラム」は、10月29日から11月1日にかけて、新潟県新潟市、村上市、上越市、佐渡市を会場に開催される予定。テーマは「世界遺産と日本遺産が織りなす文化観光 ~新潟から考える、寄港地連携と伝統文化の新たな価値創造~」で、北前船寄港地同士の連携や伝統文化を活用した新たな観光価値の創出について議論が行われる。
取材 ツーリズムメディアサービス代表 長木利通