温泉宿を運営する一の坊グループの産地訪問活動「Meet-Up TOHOKU ソト活 一の坊」が、第29回「人に優しい地域の宿づくり賞」選考委員会賞(主催:全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会)を受賞した。料理人が宿を飛び出して生産者と交流し、学びを「出来たてのひとさら」としてお客に届ける取り組みで、地域循環の創出と人財育成の実践が評価された。
累計28回、宮城県内各地の産地を料理人が訪問
2023年に始まったソト活では、これまでに累計28回の産地訪問を実施してきた。登米の米、石巻雄勝の牡蠣、宮城蔵王のチーズや牛肉、秋保のはちみつ、仙台の野菜農家など、宮城県内各地を訪ねている。
当初は料理長を中心にした活動だったが、産地での学びが若手の成長につながることから対象を拡大。現在は若手料理人や接客スタッフ、新入社員も参加し、収穫体験や対話を通じて食材の背景や地域の魅力を学んでいる。山田農園と連携した「一の坊ファーム」では新入社員が青南蛮の植え付けを体験し、収穫した青南蛮で仙台名物・牛たん焼きに欠かせない自家製南蛮味噌を仕込む取り組みも行っている。
温泉宿が「産地の広告塔」に
産地で得た学びはレストランの「出来たてのひとさら」に反映される。料理人が食材の特徴や生産者の想いを理解したうえで料理として表現し、お客に届けることで食材だけでなく地域文化を味わう旅の価値を生み出している。
「ゆと森倶楽部」では2024年4月から毎月、地元チーズ職人をレストランに招き、県産生乳100%の新鮮なチーズを出来たての一品に仕上げて提供するイベントを続けている。形や彩りに個性のある野菜など一般家庭では使われにくい食材も、料理人が産地で学んだ特徴を活かして提供することで新たな価値を引き出し、生産者の安定生産にもつなげている。
一の坊グループは宮城県内で作並温泉「ゆづくしSalon一の坊」、「松島一の坊」、遠刈田温泉「ゆと森倶楽部」「温泉山荘だいこんの花」の4施設を運営している。