観光庁の木村典央長官は8月19日の定例会見で、2026年7月の訪日外国人旅行者数が約344万人となり、前年同月比0.1%増だったと発表した。1~7月の累計は約2453万人で前年同期比1.7%減。一方、4~6月期の日本人国内旅行消費額は約7兆5000億円となり、比較可能な2010年以降、同期間として過去最高を記録した。このほか、熊本地震による観光への影響や、宿泊産業の人材確保・生産性向上、地方誘客に向けた交通ネットワークの強化などについて見解を示した。
7月訪日客344万人、17市場で7月として最多
7月の訪日外国人旅行者数は約344万人で、前年同月比0.1%増となった。23の国・地域のうち17市場が7月として過去最多を記録した。1~7月の累計は約2453万人で、前年同期を1.7%下回った。
7月の出国日本人数は約109万人で前年同月比1.2%減。1~7月累計では約814万人となり、前年同期比4.1%増加した。
木村長官は、中国からの訪日客が減少する一方、東南アジアや欧米豪などからの旅行者が増えていることに触れ、インバウンド市場全体について「概ね堅調に推移している」との認識を示した。今後も市場の多様化や消費単価の向上、地方誘客を進める。
国内旅行消費は約7兆5000億円
2026年4~6月期の日本人国内旅行消費額は、前年同期比11.7%増の約7兆5000億円となった。1~6月累計では約13兆5000億円で、前年同期比9.1%増加した。
4~6月期の国内延べ旅行者数は約1億5000万人で3.3%増。1人当たり旅行支出は約5万円で8.2%増となった。
木村長官は、旅行者数と旅行単価の双方が増加したことが消費額を押し上げたと説明。旅行単価については、宿泊費や飲食代の上昇などが増加要因との見方を示した。
熊本地震、観光施設などでキャンセル
熊本地震による観光への影響について、観光庁は関係者や旅行会社への聞き取りを実施し、被害のない地域を含め、宿泊施設や観光施設で多数のキャンセルが発生していることを確認した。特に熊本県では、風評などによるキャンセルが多く発生しているという。
一方、熊本県以外の各県からは、宿泊施設や観光施設が平常通り営業しているとの情報も発信されている。
観光庁は、各施設の営業状況などをウェブサイトで発信するとともに、日本政府観光局(JNTO)を通じた海外向けの情報提供も進める。木村長官は、日本全体のインバウンドへの影響は現時点で限定的との見方を示す一方、九州地方については引き続き動向を注視する考えを示した。
宿泊産業の収益性向上と「観光の足」確保へ
宿泊産業について木村長官は、人手不足が喫緊の課題との認識を示し、従業員の給与や待遇を向上させるためにも事業者の収益性を高めることが重要だと説明した。
外国人を含む人材採用への支援、省力化設備の導入、DXを活用した地域課題の解決などを進め、宿泊産業の生産性向上につなげる。
地方誘客では、主要交通結節点から観光地へのアクセスや地域内周遊の移動手段確保を重視。バスやタクシーについても、国内外の旅行者を支える「観光の足」として期待を寄せた。