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観光DXで変わる今年の夏

3コメント

 コロナ禍を経て、今年の3月にはマスク着用は個人の判断となって以降、全国各地の観光地でも、「入場制限+マスク+消毒」という3年間守られてきたルールが、今年の夏には、気温の上昇と共になくなっていくのではないでしょうか。

 その中で、観光地にも再び旅行客が戻ってきており、夏に向けて観光業界全体の盛り上がりが期待されますが、その一方でオーバーツーリズム問題が再燃しようとしています。

サマーコンテンツに満ちている日本

 日本のサマーコンテンツは、海、山、文化体験など多種多様です。

 海のアクティビティでは、ダイビング、シュノーケリングやサップ、山のアクティビティでは、登山、グランピング、ジップラインなどが挙げられます。

 海と山に囲まれた日本で体験できるコンテンツの多さは他国とは比べられないほどのボリュームです。

 中でも特筆すべきなのは、コロナ禍により中止を余儀なくされていた祭り、花火大会などの文化体験です。

 祭りや花火大会は、暑気を感じながら日本独自の賑わいを楽しむことができるため、国内旅行客だけでなく、訪日旅行客にも人気です。今年はいよいよそれらのイベントの多くが再開されることから、数多くあるサマーコンテンツの中でも、今年最も旅行客に注目されるコンテンツでしょう。

コロナでDX化が劇的に進んだアジア諸国と、日本のレジャー業界

 KKdayの本社がある台湾では、コロナ禍初期に行われた、マスクの在庫をリアルタイムで確認できる「マスクマップ」を始め、感染者の経路追跡のため、街中の店舗への入店時に、二次元コードをスキャンするシステムが実施されるなど、世界ではコロナ対策の中でDXが急速に進化しました。

 日本ではそういった対策が少なかった一方で、自粛ムードの中で、巣ごもり需要によって通販やフードデリバリーが多く利用されたほか、各種イベントでも、3密対策による「入場制限」が行われ、これらが日本のDXを牽引したと言えます。

 これによって、日本のレジャー業界でも「チケットの電子化」「キャッシュレス決済」「ダイレクトイン」が急速に広まり、我々のようなOTA(オンライン・トラベル・エージェンシー)と呼ばれるオンライン特化の旅行会社が積極的にシステム構築に挑み、事業者のDX推進に貢献しました。

 KKdayでも、旅ナカ事業者のDXを支援する「rezio(レジオ)」を開発、運用しており、国内外へのオンライン販売やオンライン上で予約・在庫情報の一元管理など、運営の効率化の実現と、お客様の利便性向上を目指して、全国各地の自治体や事業者をサポートしています。

KKday rezio

コロナではなく、オーバーツーリズムによる入場制限

 コロナ禍に行われていたイベントや各種アクティビティでは、事業者は感染拡大防止を目的に人数制限や非接触でお客様対応を行うため、オンライン予約に移行し、お客様もオンライン予約を利用する方も増えていきました。

 コロナの感染拡大が落ち着き、観光を目的とした日本への入国ができるようになった現在、全世界から多くの旅行客が日本を訪れるようになったことで、オーバーツーリズム問題が発生しつつあります。

 しかしながら、日本の観光地では、海外のようにインバウンドに対応したオンライン予約システムが整備されておらず、多言語での情報提供も不十分なため、オーバーツーリズムへの対応が難しい状況にあります。

 そのような背景から、今年の夏休みは電子チケットが導入されていることに加え、多言語化による情報提供で訪日旅行客の受け入れ体制を整えているレジャー事業者であればあるほど、過去最高の集客実績を出せるのではないかと思います。

観光DX推進に向けた今夏の課題

 「観光立国推進基本計画」で示された、訪日外国人旅行消費額5兆円を目指すためには、データ分析、お客様のニーズに沿ったコンテンツ造成、そして適切なターゲットへのマーケティングなどが重要となる中で、観光DXをこれまで以上に加速させていく必要があります。

コロナ明け初の夏。

コロナで圧倒的に進んだお客様のオンラインリテラシーと、日本の価値ある観光資源をどんな形でマッチングさせることができるのかが、われわれの今夏の課題であると考えています。

寄稿者 王 子軒(おう・じけん)㈱KKDAY JAPAN国内営業部シニアマネージャー

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  1. カウ ジセン
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    素晴らしいですね。

  2. アライ
    いいね!:2

    素晴らしい記事だ!

  3. jennyyeh
    いいね!:0

    Good

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