旅行業公正取引協議会(旅公協、小谷野悦光会長、268会員)は6月24日、東京都千代田区のKKRホテル東京で第42回通常総会を開催した。2025年度事業報告・収支決算、公正競争規約(表示)の一部変更、補充役員選任などを承認し、2026年度事業計画・収支予算を報告した。また、小谷野会長の退任に伴い、副会長を務めるエヌオーイー社長の橋本肇氏を新会長に選任した。2026年度は新たに9、10月を「広告表示適正化月間」と位置付け、旅行広告のさらなる適正化と会員各社の規約順守意識向上を図る。

設立40周年で認知向上へ手応え 「付加価値ある旅行商品の提供が重要」
小谷野会長は冒頭のあいさつで、2025年度に旅公協が設立40周年を迎えたことに触れ、「ツーリズムEXPOジャパンや那覇空港での独自イベント、新たな広告媒体であるデジタルサイネージを利用した品川駅自由通路での広告など、さまざまな機会、手段を通じて協議会マーク、ロゴマークのPR活動を積極的に展開してきた。一般消費者にも認知度が高まったものと考えている」と成果を強調した。
一方で旅行市場については、訪日外国人旅行者数や消費額が過去最高水準となるなか、日本人海外旅行は円安や国際情勢による旅行代金上昇などの影響を受け、国内旅行も宿泊費上昇や節約志向など課題があると指摘。その上で「このような時こそ、旅行会社として消費者に魅力的で付加価値のある旅行商品を提供していくことが非常に重要だ」と述べた。
来賓として登壇した消費者庁表示対策課の岡田博己課長は、「デジタル化の進展により、表示や広告が消費者の選択に与える影響が大きくなる一方でトラブルも生じている」と指摘。「公正競争規約の運用と行政による取り組みは役割こそ異なるが、消費者利益の確保、安心安全に取引できる環境整備という目的は共通している。今後も連携して取り組んでいきたい」と話した。
また、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部取引企画課の河野琢次郎課長は、原材料費やエネルギーコスト上昇などを踏まえ、「旅行業界では発注者、受注者双方の立場になる場面がある。双方がウィンウィンで持続的に発展できる関係となるよう、自主的な取引適正化を進めてほしい」と呼び掛けた。
広告表示適正化月間を新設 橋本新会長「協議会の役割ますます重要に」
2026年度事業では、新たに9、10月を「広告表示適正化月間」と設定する。会員会社の規約順守意識向上と広告表示のさらなる適正化を目的に、社内広告チェック体制の点検や共通チェックシートを活用した自主点検を推進する。また、Web広告表示審査会を年4回開催し、引き続き公正競争規約の順守状況の確認や改善指導を進める。
公正競争規約(表示)の一部変更では、協議会マーク・ロゴマークについて、募集広告への表示を義務付けることを承認した。消費者が旅行商品を選択する際に最初に目にする広告段階で、適正表示を行う事業者であることを示し、信頼性向上につなげる。
また、道路運送法上の許可または登録を要しない運送サービスについて、観光ガイドやアクティビティ事業者による自家用車利用を旅行日程に組み込む場合、その旨を表示する規定なども新設した。
新会長に就任した橋本氏は2019年から同協議会理事、2022年から副会長を務めてきた。就任あいさつでは、「旅行業界はAIやデジタル化の急速な進展、旅行ニーズの多様化など大きな変革の中にある。多くの可能性が広がる一方、消費者への情報提供のあり方には新たな課題も生まれている」と指摘。
その上で、「旅行業公正取引協議会が担う役割はますます重要になっている。公正競争規約の適正な運用を通じ、旅行広告の適正化を図り、消費者が安心して旅行商品を選べる環境を守ること、旅行業界の健全な発展につながるよう努めていきたい」と抱負を述べた。
小谷野氏、理事の髙橋広行氏(JTB)、平井登氏(ジャルパック)の退任に伴う補充役員の選任も行われた。新任理事には、吉田圭吾氏(日本旅行社長)、山北栄二郎氏(JTB社長)、大村剛也氏(ジャルパック社長)、岩切道郎氏(名鉄観光サービス社長)、小山佳延氏(KNT-CTホールディングス社長)を選任した。
取材 ツーリズムメディアサービス代表 長木利通