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HIS、B.LEAGUEと提携 全55クラブ対象「B.旅」で地域送客、アジア誘客も

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エイチ・アイ・エス(HIS)は8月31日、ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(B.LEAGUE)と「グローカル・パートナー契約」を締結した。B.LEAGUE全55クラブのファンを対象とする公式ツアー「B.旅」の企画・造成・販売をはじめ、アジアを中心とした訪日誘客、子ども向けバスケットボールクリニックなどを展開する。HISの国内外の旅行ネットワークとB.LEAGUEの地域密着型の事業基盤を掛け合わせ、スポーツ観戦を起点に地域への人流を生み出す新たなスポーツツーリズムの構築を目指す。

同日開いた記者会見には、HISの澤田秀太社長、山野邉淳取締役、B.LEAGUEの島田慎二コミッショナーが登壇。「地域熱狂」「グローバル誘客」「次世代育成」の3つを柱に、観戦旅行にとどまらない地域活性化や国際交流まで連携を広げる方針を説明した。

澤田社長は、HISが持つ「世界と地域を結ぶ旅の力」と、B.LEAGUEの「地域密着の熱量」を融合させることで、「日本全国、そして世界中に心たぎる、心躍る瞬間を共創していきたい」と意欲を示した。

全55クラブ対象の公式ツアー「B.旅」

今回の提携でHISは、B.LEAGUE全クラブのファンを対象とした公式ツアー「B.旅」の企画・造成・販売の独占権を取得した。移動・宿泊だけでなく、観戦チケットやオリジナルグッズ、特別体験などを組み合わせる。オールスターゲームの観戦や選手との面会イベント付きツアーなども想定する。

澤田社長は「単なる移動や宿泊の手配にとどまらず、日常を離れてチームの熱狂に浸れる特別な体験を届けたい」と説明。ファンの移動そのものを地域への送客につなげ、地域経済の活性化にも貢献する考えを示した。

山野邉取締役によると、「B.旅」は特にアウェイファンの移動需要を重視する。全試合で一律にツアーを設定するのではなく、各クラブと話し合いながら、需要のある試合を中心に商品を造成する。9月中の販売開始を予定している。

島田氏「単なる移動手段ではなく、地域の魅力も知ってもらう」

B.LEAGUEは現在、41都道府県に55クラブを展開する。島田コミッショナーは会見で、クラブがない地域にも今後数年でチームを立ち上げ、「1県1クラブ」を実現したいとの考えを示した。リーグ戦では各クラブとファンがホームとアウェイを行き来するため、全国規模で人の移動が生まれる。島田コミッショナーはHISとの連携について、「単なる移動手段ということだけではなく、その地域の魅力も知っていただく」取り組みにしたいと語った。

B.LEAGUEは各クラブが地域に密着し、試合開催だけでなく地域のにぎわいづくりにも関わっている。島田コミッショナーは、自ら「地方創生リーグ」としての役割を掲げていることにも触れ、旅行とスポーツを組み合わせることで「もう一歩深いところまで突っ込んだ関係」でHISと連携したいと述べた。

HIS側もこの点を重視する。山野邉取締役は、B.LEAGUEについて「単にコンテンツとしてのバスケットボールではなく、それをきっかけに地域自体のにぎわいをつくっている」と評価。旅行を通じて地域を活性化したいHISの方向性と合致しているとの認識を示した。

アジアから地方のアリーナへ 新たなインバウンド需要を開拓

2つ目の柱が、アジアを中心としたインバウンド・スポーツツーリズムだ。HISは海外52カ国133拠点のネットワークを活用し、海外在住のB.LEAGUEファンを日本各地のアリーナへ誘客する。観戦を目的に訪日し、その地域で宿泊や観光を楽しんでもらう流れをつくる。

山野邉取締役によると、B.LEAGUEには29の国・地域の選手が所属しており、まずはフィリピン、韓国、インドネシア、台湾を中心にプロモーションを展開する。各国出身の選手を軸にB.LEAGUEの魅力を発信し、HISの現地拠点から公式インバウンドツアーへつなげる。

島田コミッショナーは、アジアではバスケットボール人気が高く、各国代表クラスの選手がB.LEAGUEでプレーしていることを強みとして挙げた。「選手を追いかけて来る」海外ファンの需要も期待できるとして、国内へのインバウンドだけでなく、B.LEAGUEの国際大会に合わせたアウトバウンドでもHISと連携できるとの考えを示した。

インバウンド観客について具体的な数値目標は設けていないものの、島田コミッショナーは、少子化が進む中でも全国各地に整備されるアリーナを継続的に満員にしていくことが重要だと指摘した。訪日旅行者の増加やアジアでのバスケットボール人気を背景に、「少しずつインバウンドのお客さんを増やしていくことは明確に思っている」と述べた。

今後はフィリピンでのPRイベントや「B.LEAGUE MANILA GAMES 2026」の観戦ツアーを実施し、その後、インドネシア、韓国、台湾へ展開する予定だ。

アリーナをMICEや地域のにぎわいづくりにも

両者は、全国のB.LEAGUEアリーナを観戦以外にも活用する。島田コミッショナーは「アリーナがあって、そのチームがあって、その地域があって、その観光地もある」と説明。バスケットボールだけでなく、エンターテインメントやMICEなどへ事業連携の領域を広げたいとの考えを示した。

山野邉取締役も、全国各地のアリーナについて、試合がない日でも「人が集まるきっかけ」を生み出せる施設と評価した。企業イベントやチームビルディングなどにも活用できるとして、すでに各クラブと連絡を取り、アリーナを視察しながら具体的な活用方法の検討を進めている。

アリーナへの来訪をきっかけに、周辺の観光地や飲食店、宿泊施設などへ人を動かすことができれば、試合開催日以外も含めた地域への経済効果も期待している。

子ども向け交流、海外バスケキャンプも

3つ目の柱となる次世代育成では、B.LEAGUE公認のバスケットボールクリニックや子ども向け交流イベントを全国で開催する。さらに、フィリピンなどでの海外バスケットボールキャンプや国内での国際交流プログラムを通じ、次世代のリーダー育成につながる機会を提供する。海外のスポーツビジネス、アリーナ経営、まちづくり、ダイバーシティなどを学ぶ実践的なプログラムも検討する。

島田コミッショナーは今回のパートナーシップについて、地域創生や旅行の楽しさ、スポーツの熱狂を多くの人に知ってもらう機会になると期待を寄せた。自身もかつて旅行業界に携わった経験に触れながら、HISとの連携に「感慨深いものを感じている」と語った。

澤田社長「若い層にHISを知ってもらいたい」

今回の提携には、HISにとって顧客層を広げる狙いもある。澤田社長は、HISの現在の利用者について40~60代に強みがある一方、今後は20~30代、若い女性、ファミリー層へのアプローチを強化したいと説明。「若い層に、ブランディングも含めてHISを知っていただきたい」と述べた。

その上で、旅行の目的についても、観光地や食だけではなく「テーマとかIPとか、そういうものが旅行に行く目的として重要になってきている」と指摘。スポーツを旅行の目的となるコンテンツとして強化することで、こうした需要を取り込む考えを示した。

HISはこれまでも海外サッカーや米国での野球、テニスなどの観戦旅行を扱ってきたが、旅行事業全体に占めるスポーツ旅行の比率はまだ大きくない。澤田社長は今後について「いろんなスポーツに対して、目的とする旅行の企画商品をより広く深く作っていきたい」と説明。具体的な構成比目標は置いていないものの、「徐々に比率は上がっていく」との見方を示し、利益率の面でも期待できる分野との認識を示した。

HISとB.LEAGUEは、「B.旅」によってファンの移動を地域での宿泊や観光、消費へつなげるとともに、アジアから地方のアリーナへ新たな訪日需要を生み出す。スポーツ、旅行、地域を結ぶ今回の「グローカル」な連携が、国内のスポーツツーリズムをどこまで広げられるか注目される。

取材 ツーリズムメディアサービス代表 長木利通

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