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ようこそ写真俳句の世界へ ㊳虫すだくつげ義春の寂れ宿

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六十歳以上の世代なら、漫画家・つげ義春の名前に、どこか懐かしさを覚える人も多いのではないだろうか。かつて漫画雑誌『ガロ』に独特の作品を発表し、私も若い頃、『ねじ式』や『紅い花』などを夢中になって読んだ記憶がある。そこに描かれていたのは、現実と夢の境目がいつの間にか曖昧になってゆくような、奇妙で、少し寂しい世界だった。鄙びた温泉宿、古びた路地、人影のない町。そんな風景には、なぜか心を引かれるものがある。「虫がすだくさびれ宿」という光景も、どこかつげ義春の世界に迷い込んだようだ。写真を眺めているうちに、遠い昔に読んだ漫画の一場面が、記憶の底からふっと浮かび上がってきた。

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