2か月放置して見えた「水の仕事量」 みちくさFeelog#19
今日は朝から、畑の草刈りをしています。
夏休みの約2か月間、あまりにも忙しくて放置してしまった畑。
久しぶりに来てみたら、当然ながら草、草、草……。
草刈り機を回して、長い鎌を振って、汗だくになりながら何時間も格闘しています。
それでも、なかなか終わらない。
「草って、こんなに強いんだなあ」

そんなことを思いながら、お昼休みに畑のすぐ下にある、いつもの秋川の河原へ降りてみました。
そこで、ふと気づきました。
あれ? 草がほとんどない。

畑も河原も、同じ夏を過ごしています。
同じ太陽が照り、同じ雨が降り、同じ2か月という時間が流れた。
ところが、片方は人の背丈に迫るほど草が伸び、もう片方には石や砂利が広がり、植物はまばらです。
川は、ずっと「草刈り」をしている?
もちろん、河原に草が少ない理由は一つではありません。
河原は砂や礫が多く、畑のような細かい土が少ない。
水はけがよく、夏には乾燥しやすい。
そして、もう一つ大きいのが、**増水による「攪乱」**です。
水位が上がれば、川の水は植物を倒し、根を洗い、土砂を削り、石を動かします。
国土交通省も、砂礫河原は洪水によって植物や土砂が流されたり、新しい砂や石が運ばれたりすることで維持される環境だと説明しています。逆に洪水による攪乱が弱くなると、河原には植物が入り込み、やがて草地化・樹林化していくことがあります。
つまり私が朝から何時間もかけて、
「草を刈る」
「草を倒す」
「地面を出す」
という作業をしている一方で、
川では増水するたびに、水がものすごいエネルギーで同じように景色をつくり替えている。
草刈りをして疲れ切ったあとだからこそ、その力が少しだけ身体で分かった気がしました。
草の量から、水の力を見る
普段、川の流れを見ているだけでは、水の力はなかなか想像できません。
でも、畑と河原を並べて見てみると、
「植物があるか、ないか」
という違いそのものが、川が動いた痕跡に見えてきます。
石の大きさ。
砂が堆積している場所。
草が密集する場所。
逆に、何も生えていない場所。
河原の景色は、川がこれまでどこまで水を運び、どこを削り、どこに土砂を置いてきたのかを読むための「記録」でもあるんですよね。
みちくさをしていると、こういう景色の違いが急に気になり始めます。
そして今、「雨の降り方」も変わっている
今年2026年の夏も、暑い日が続いた一方で、突然まとまった雨が降るなど、振れ幅の大きな天候でした。
気象庁によると、2026年夏の東日本太平洋側は、台風や8月の記録的な大雨などの影響で、夏の降水量が「かなり多い」状態となりました。
そして、もっと長い時間で見ても興味深い変化があります。
関東甲信地方では、1時間50ミリ以上の短時間強雨の発生回数が増加傾向にあり、2016~2025年の10年間は、1979~1988年と比べて約1.6倍になっています。
全国でも、1時間50ミリ以上の雨は、1976~1985年と2015~2024年を比較すると約1.5倍に増えています。
つまり、「雨が多くなった」と一言で言うより、
雨の降り方の振れ幅が大きくなっている。
こちらの方が、現場で感じる変化には近いのかもしれません。
降らない。
暑い。
そして突然、強く降る。
そうなれば、川の水位も短時間で変わります。
私たちが遊び、釣りをし、生きものを観察している河原も、一瞬で別の場所になる可能性があります。
防災って、景色の「違い」に気づくことなのかもしれない
防災というと、
ハザードマップを見る。
避難場所を確認する。
非常食を準備する。
そういったことを最初に思い浮かべます。
もちろん、どれも大切です。
でも今日、草刈りをしながら思ったのは、
普段の景色から自然の力を想像できることも、防災なんじゃないか。
ということでした。
なぜ、この河原には草がないのか。
なぜ、大きな石がここに転がっているのか。
なぜ、あそこだけ木が生えていないのか。
なぜ、流木があんな高さに引っ掛かっているのか。
そんな小さな「なぜ?」を拾っていくと、
「ここまで水が来たのかもしれない」
「この石を動かすほどの水が流れたのかもしれない」
と、見えない自然の力を想像できるようになります。
私が数時間、汗だくになって草刈りをしても、なかなか変えられない景色。
川は、それを短い時間で変えてしまうことがある。
自然の力を怖がるだけでもなく、甘く見るのでもなく、
普段から、その力を景色の中に読み取っておく。
それが、地面が動き、水が動き、気候が揺れる日本で暮らしていくための「感覚」なのかもしれません。
今日の私は、
畑の草を刈りながら、
河原の「草がない」という景色から、
川の力を教えてもらいました。
みちくさって、やっぱり面白い。
皆さんの身近な川にも、「なぜここには草が生えていないんだろう?」という場所はありませんか?
そこには、目には見えない水の仕事の跡が残っているかもしれません。
