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〈避暑旅〉東京・福生で酒蔵見学、嘉泉で乾杯

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JR青梅線福生駅から歩いて10分ほど。東京・福生市の田村酒造場を訪ねた。市名も駅名も「ふっさ」と読む。福が生まれる。縁起がいい印象を受けないだろうか。(画像はあいさつする16代目当主)

大昔、北海道の旧国鉄広尾線に「幸福駅」があった。「愛国から幸福ゆき」の硬券が土産として人気になった。さあ、硬券って何でしょう。1960年生まれには、改札鋏を入れる音が聞こえてきそうだ。それはまた別の話。

築200年、現役の酒蔵

東京には現在、日本酒を造る蔵元が10社ある。東京都酒造組合によると、23区に1社、多摩地域に9社。西多摩では、小澤酒造(青梅市)、田村酒造場、石川酒造(福生市)、中村酒造、野﨑酒造(あきる野市)の5蔵が「多摩川酒蔵街道」をつくっている。

東京・多摩で酒蔵めぐり

「澤乃井」で知られる小澤酒造では酒蔵見学を行い、多摩川沿いに料亭「ままごと屋」やきき酒処がある。同じ福生市の「多満自慢」で知られる石川酒造も酒蔵を見学でき、敷地内にはイタリア料理の「福生のビール小屋」がある。

梁も柱も200年もの

酒を買って帰るだけではなく、酒蔵を見学し、その土地で酒を飲み、食事をする。東京でもこうした酒蔵ツーリズムを楽しめる。

そのうちの1軒、田村酒造場を新施設の内覧会で訪ねた。田村酒造場は文政5年(1822年)創業。200年以上、多摩川沿いの福生で酒造りを続け、代表銘柄は「嘉泉(かせん)」。敷地内で酒造りに適した「嘉(よ)き水」を得たことから名付けられた。

丁寧に造り、丁寧に売り、丁寧に伝える

7月1日に開業したのは、日本酒の複合体験施設「&KASEN(アンドカセン)」。レストラン、バー、ショップを備え、酒蔵見学と合わせて日本酒を知り、飲み、食事ができる。

&KASEN

内覧会であいさつした十六代目当主、田村半十郎さんは、200年余りの間に日本酒を取り巻く環境は大きく変わったと話した。国内の人口減少やライフスタイルの変化、訪日客の増加を挙げ、これまでの「丁寧に造って、丁寧に売る」に加え、これからは日本酒の背景にある文化や物語を「丁寧に伝える」ことが必要だと話していた。

レストランは、大きな窓の外に庭園が広がり、その向こうには見えないけれど多摩川が流れる。ここで5500円のランチコースをご馳走になった。

レストランと中庭

仕込み水「嘉き水」のだしで作ったオクラと生麩、白とうもろこしの「季節野菜のすり流し」から始まり、酒粕を使った「海老ハトシとグリーンサラダ」、スズキを嘉き水と嘉泉で煮込んだ「旬魚のアクアパッツァ」、穴子と万願寺とうがらし、実山椒を使った「季節の土鍋ご飯」、最後は酒粕チーズケーキ。

アクアパッツァはスプーンで汁まで飲み干し、土鍋ご飯はほどよいおこげをこそげ取って、おかわりした。

レストランでは仕込み水や酒粕などを料理に取り入れ、日本酒との組み合わせも提案している。食前、食中には何種類かの日本酒が出された。まずは泡の立つ日本酒から。軽い口当たりだった。最近は日本酒もソーダで飲むスタイルが広がっているらしい。新しい日本酒ファンを増やすには、こんな飲み方も必要なのだろう。

バーカウンター

食事の後は酒蔵を見学した。田村酒造場では「&KASEN」の開業に合わせ、従来から行ってきた蔵見学をリニューアルした。ひんやりした蔵の中を歩きながら、200年以上続く酒造りと田村家の歴史、酒造りの工程を聞く。

見学後の「&KASEN」のバーカウンターでは、日本酒を飲み比べるプランも用意している。バーカウンターからは、道路を挟んで築200年の酒蔵が見える。ディナーの時間帯には酒蔵がライトアップされる。

築200年の酒蔵を歩き、酒造りの話を聞いて、バーカウンターで冷酒を一杯。避暑旅に酒蔵訪問はどうだろう。

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