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全国的・広域的な魚の変化を現場で考える

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昔は当たり前のように獲れていた魚が姿を減らし、その一方でこれまで馴染みの薄かった魚が網にかかるようになってきた。サワラの産地が北へ広がるなど、海の環境変化は全国的に進み、漁場の常識も更新されつつある。こうした変化を「失われゆく海」として悲観するだけでなく、漁業の新たな可能性や魚食文化の進化、地域観光の魅力づくりへとつなげられないか。現場の目線から、海が語り始めた新しいストーリーを考えたい。

セリ市場で聞いた「昔と魚が変わった」

9月上旬、大阪府岬町の深日漁業協同組合のセリ市場を訪れ、元組合長と魚の変化について話を聞いた。セリ市場で元組合長と話していると、「昔と魚が変わった」という話が出た。

長く海と向き合ってきた漁業者にとって、魚種の変化は単に「珍しい魚が獲れるようになった」という話ではない。これまで地域で親しまれてきた魚が減れば、漁のあり方だけでなく、食卓や魚食文化にも変化が生じる。元組合長は、鱧が獲れること自体は良いことだと話す一方、その餌となる砂地に生息する生き物が減っていることにも触れた。

シャコエビやタコなど、かつて身近だった生き物の減少についての話だった。 

海の変化は、1種類の魚だけを見ていては分からない。魚、その餌となる生き物、海底の環境など、さまざまな要素がつながっている。

サワラの産地も北へ広がっている

サワラも、こうした海の変化を考えるきっかけになる魚だ。
市場魚貝類図鑑の記事「温暖化を感じる魚14 サワラ」では、サワラはかつて瀬戸内海や九州などを中心とした「西の魚」だったが、2000年代以降、島根県で水揚げされるようになり、その後、京都府、福井県、石川県などへ産地が広がったと紹介されている。
現在では東京湾などでも水揚げされ、東京の豊洲市場にも各地からサワラが集まるという。
魚の産地が変われば、その魚を使った料理や加工品、地域の食文化にも変化が生じる可能性がある。サワラをめぐっても、地域ごとに食べ方や加工の文化が育ってきた。魚が動けば、食文化もまた変わっていく。

変化を地域の新しい魅力にできないか

温暖化や海の環境変化という言葉からは、どうしても「失われるもの」に目が向きやすい。
しかし、現場で魚の変化を聞くと、変化そのものを地域の魅力として捉え直す視点も必要ではないかと思う。
これまで地域であまり知られていなかった魚が獲れるようになれば、新しい料理や食べ方が生まれる可能性がある。漁師から魚の話を聞き、セリ市場を見学し、その魚を地域の店で味わう。そうした体験を組み合わせれば、漁業そのものが観光の目的になる。
岬町のように海と漁業が身近にある地域では、魚を「食べる」だけでなく、「どこで獲れ、どのように市場に並び、地域の人がどう食べてきたのか」まで伝えることに価値がある。
魚種の変化をただ悲観するのではなく、変わりゆく海を地域の物語として伝える。その中から、新しい食文化や観光の魅力をつくることはできないだろうか。
海の変化は、漁業者だけの問題ではない。地域を訪れる人にとっても、その土地で何が獲れ、何を食べ、どんな暮らしが営まれているのかを知る大切な入口になる。
サワラの産地北上をきっかけに、海の変化を地域の未来につなげる方法を考えてみたい。

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