徳島を拠点に阿波藍による作品を制作する「青藍工房(Atelier Seiran)」は9月22、23日、イタリアで開催中の第61回ヴェネチア・ビエンナーレの公式コラテラル・イベント会場で、トークシリーズを開催する。テーマは「藍から世界へ――日本文化、その心と創造」。1895年の創設以来、世界で最も権威ある国際美術展とされるビエンナーレの舞台で、藍の美しさとその根底に流れる日本精神を世界へ発信する。
「なぜヴェネチアで日本文化を紹介するのか」
青藍工房は、1970年に藍染作家の橋本陽子氏が徳島に設立した。その原点には、戦後、橋本氏が高校時代の教師から「日本の文化を守れば負けたことにはならない」と言われた言葉がある。化学染料の普及で藍染が衰退するなか、故郷の藍と向き合い、ろうけつ染めで独自の表現を築いてきた。
橋本氏は「藍染めの技法だけでなく、自然とともに生き、季節の移ろいや生命の循環に美を見いだす日本人の感性も作品の中に受け継がれている。だからこそ、作品とともにその背景にある日本文化を伝えたい」と語る。
IT経営者でもある代表が登壇
トークシリーズには、青藍工房代表の浮川初子氏が登壇する。浮川氏は徳島生まれで、1979年にジャストシステムを創業し「一太郎」「ATOK」などの開発を主導。現在はMetaMoJi代表取締役専務を務め、現役プログラマーとして活動する一方、母・橋本陽子氏の影響を受けて藍染制作にも取り組んでいる。作品の紹介とともに、日本文化の成り立ちや自然観について語る。
アーティストの橋本陽子氏、橋本清子氏、Serge Mouangue氏もビデオ出演する。あわせて、カメルーン出身のデザイナー・Serge Mouangue氏との出会いから生まれたコラボレーション作品「Les Lucioles(ホタル)」を紹介し、日本の藍と異なる文化との出会いから生まれる新たな創造の可能性を提示する。
11月22日まで公式イベントに出展
トークシリーズは9月22、23日の各日午後2時から午後5時まで、Palazzo Donà dalle Rose(ヴェネチア)で開催する。第61回ヴェネチア・ビエンナーレの公式コラテラル・イベント「Fissures of Light」の会場内で行われ、青藍工房は同イベントに11月22日まで出展している。
東西の文化が交差し続けてきた水の都・ヴェネチアの地で、日本の「藍」と「心」を分かち合い、持続可能な文化の未来に向けた新たな対話をひらく。主催は青藍工房とFondazione Donà dalle Rose。