Booking Holdingsは10月14日、AIを活用した新たな旅行エージェント事業「Vayo」を立ち上げ、1億米ドルの投資を計画していると発表した。Vayoは航空券やホテル、レストランなどの予約情報を一元管理し、旅行計画の作成から予約後の変更対応までを継続的に支援するサービス。Booking.comやAgodaなどグループ内のサービスだけでなく、他社OTAや航空会社・ホテルへの直接予約も管理対象とする点が特徴で、現在は招待制のプライベートベータ版の利用希望者を募集している。
Vayoは、旅行者が複数の予約サイトを使い分けることで生じる手配や旅程管理の負担を、AIによって軽減することを目指す。利用者のメールに届いた航空券、宿泊施設、アクティビティ、レストランなどの予約確認情報を取り込み、旅行ごとの旅程として整理。未手配の項目を把握し、利用者の旅行スタイルに応じた提案を行うほか、予約後も価格変動などを継続的に監視する。
個別の予約を管理するだけでなく、旅程全体のつながりを把握できることも特徴だ。例えば、フライトの変更によってホテルへの到着が遅れる場合には、チェックインやレストラン予約への影響を利用者に知らせる。Vayoの公式サイトでは、価格が下がった場合の返金機会や、満席・満室だった予約枠に空きが出た場合の対応なども紹介しており、利用者の承認を得ながら旅行計画を改善していく仕組みを掲げる。
注目されるのは、Booking Holdings傘下のサービスに限定しない設計だ。同社はBooking.com、Priceline、Agoda、KAYAK、OpenTableなどを展開するが、Vayoでは競合OTAや航空会社・ホテルの公式サイトで行った予約も取り扱う。公式サイトでも、他社サービスや宿泊施設の直販サイトに適した選択肢があれば、そちらへ誘導する方針を示している。
Vayoの共同創業者兼CEOであるMike Fridgen氏は、旅行は単一の作業ではなく、従来のチャットボット以上のサービスが求められると説明。旅行全体を理解し、利用者の好みを把握したうえで、継続的に支援するパーソナルエージェントを目指す考えを示した。
Booking HoldingsのGlenn Fogel CEOも、旅行は消費者にとって複雑な体験の一つであり、旅行計画や管理の多くの負担が利用者自身に残されていると指摘。AIによって必要な対応を先回りして提案し、旅行計画から管理までを円滑にする可能性を探るとしている。
現在のプライベートベータ版は無料の招待制で、主に年間複数回旅行する利用者を想定する。メールへのアクセスについては、旅程の構築・管理に必要な予約確認情報のみを利用し、それ以外のメールは対象としないとしている。今後数カ月で、Vayoからの直接予約機能や専用アプリ、同行者と共同で旅行計画を作成する機能などを追加する予定だ。
なお、1億米ドルの投資は製品開発の進捗や市場環境を条件とした計画で、全額の投資実行が確定したものではない。
Booking Holdingsはこれまで、傘下の各OTAでAIを活用した検索・旅行計画機能の開発を進めてきた。今回のVayoは、個別の予約サイトにとどまらず、複数の販売チャネルを横断して旅行全体を管理する新たな顧客接点の構築を目指すもの。将来的に直接予約機能が拡充されれば、旅行者が個々のOTAやサプライヤーのサイトを訪問して比較・予約する従来の購買行動にも変化をもたらす可能性がある。
情報提供:トラベルビジョン(https://www.travelvision.jp)