京都洛北の巨刹・大徳寺の至宝を一堂に会する「大徳寺展」(写真)が上野の東京国立博物館(東博)平成館で10月14日から始まった。京都開催から41年ぶり、東京展は初めて。この規模の展示は、今後半世紀は見られないと注目されている。本坊の七堂伽藍から塔頭(たっちゅう)まで数多くの秘蔵品を展開し、国宝、重要文化財が並ぶ。壮麗な障壁画、襖絵、仏像、頂相(ちんそう=禅宗高僧の肖像)、書、什器、茶道具、染織、陶磁、漆工など興味は尽きない。(写真:「禅」の大きな文字の垂れ幕で会場を飾る)
大徳寺の始まりは鎌倉時代末期の1315年=正和(しょうわ)4年に遡る。禅僧・宗峰妙超(しゅうほうみょうちょう)、のちの大燈国師(だいとうこくし)が、狩猟の野原だったという紫草(ムラサキ)繁る紫野(むらさきの)の地に小さなお堂を建て「大徳」と名付けた。ここを祈願所とし、伽藍を整え法堂(はっとう=説法修行道場)を建立し1326 (嘉暦元)年、正式に開山した。この時から数え700年の節目の今年、大きな展覧会の開催となる。群れ咲くというムラサキは可憐な白い花だが、乾燥した根が染料として古来重宝され紫根ともいう。
大徳寺は応仁の乱など戦火のあおりを受けて荒廃したが、一休宗純(そうじゅん)和尚らが復興に努めた。動乱の時代に後醍醐天皇は禅の教えや高僧を尊重し、「本朝無雙之禅菀(ほんちょうむそうのぜんえん)」の書を残し、大徳寺は日本に2つと無い禅の苑(その)と称えた。この書は宸翰(しんかん=天子直筆の書)として国宝に指定されている。沢庵宗彭(そうほう)、江月宗玩(こうげつそうがん)ら優れた僧を輩出。千利休ら茶人や豪商とも縁深い。国宝展示は「宗峰妙超像」画のほか、妙超筆の代表作「看読真詮榜(かんどくしんせんぼう)」は経文など読誦させる文書の掲示、中国・禅僧画家の牧谿(もっけい)筆「観音猿鶴図」は東洋絵画の最高峰と讃えられる。

狩野永徳の「琴棋(きんき)書画図襖」は琴や囲碁の様子を描き、「花鳥図襖」は聚光院本堂を飾る障壁画、「曜変天目」は七色の光彩を放つという碗で中国福建省伝来の名器だ。さらに重要文化財は、目を見張る巨大な「仏涅槃(ねはん)図」や頂相「達磨図」「一休宗純像」「後醍醐天皇像」などが連なる。朱漆を塗り重ねてツバキとオナガドリの文様を彫った「椿尾長鳥堆朱盆(ついしゅぼん)」も貴重な重文だ。ほかに、印慶作「釈迦如来坐像」、田中浄慶ら作「千利休立像」を初公開する。
観覧料は一般2,300円、大学生1,300円、高校生900円。中学生以下、障がい者とその介護者1名は無料。会期は12月6日まで。
写真・文 林 莊祐