本吉夢プロジェクト委員会(宮城県気仙沼市)は6月15日から22日朝までの1週間、宮城県気仙沼市で米国ミシガン州の高校生11人と引率教員2人をホームステイで受け入れた。学校や寺、福祉施設での交流とホストファミリーとの生活を通じ、家族のようなつながりを育みながら、気仙沼の日常を体験できる場を創出した。
言葉を越えて近づく学校体験
生徒たちは夕方まで市内の寺や学校、福祉施設などでプログラムを体験し、その後は各ホストファミリーの家に帰る。観光地を巡る旅行ではなく、家庭で食卓を囲み、生活のリズムを共にすることで、気仙沼の日常に触れる。
学校体験では、生徒たちが中学校の授業や部活動に参加した。よさこいソーラン節を一緒に踊る場面もあり、スポーツや音楽を通じて子ども同士の距離が縮まった。
同委員会によると、英語を話せない地域の子どもからも「もっと話したかった」「もっと話せるようになりたい」との声が聞かれたという。海外の生徒との交流が、世界への関心を広げるきっかけになった。
気仙沼の日常を分かち合う1週間
今回の受け入れは、小野寺克浩氏が代表を務める本吉夢プロジェクト委員会が主催した。同委員会によるホームステイ受け入れは4年目で6回目となり、これまでに約70人を受け入れてきた。
同委員会は、血縁や婚姻関係がなくても、家族のような関係を築けるという考えを大切にしている。地域の中に家族のようなつながりを広げ、人の幸福度を高めるとともに、災害にも強いまちづくりにつなげることを活動の土台としている。
震災時の縁から始まった交流
交流のきっかけは、震災当時に津谷小学校と大谷小学校で外国語指導助手(ALT)を務めていたパティ・ブリューエン氏との縁だった。
ブリューエン氏が教え子を本吉町に連れてきたいと希望し、ウィスコンシン州マディソンの留学生を受け入れたことから交流が始まった。
その後も交流を重ね、今回のミシガン州の高校生受け入れにつながった。海外の若者に気仙沼を知ってもらうだけではなく、地域の人が普段の暮らしや人とのつながりの価値を見つめ直す機会にもなっている。
不安が安心に変わるホストファミリー
ホストファミリーは、英語が堪能な家庭ばかりではない。毎回のアンケートでも、受け入れ前には言葉の壁や食事への不安を感じる家庭が多いという。
しかし、受け入れ後には「言葉の壁は大きな問題ではなかった」と感じる家庭が多い。身ぶりや表情、食事や生活の時間を通じて少しずつ気持ちが通い、初日の緊張は日を追うごとにやわらいでいく。
同委員会関係者は、お互いに緊張し、ぎこちない雰囲気が漂う初日の顔合わせの時間が一番好きだと話す。最初は遠慮があった関係も、日が経つにつれて家族のような距離感に変わり、最終日には別れを惜しむ家庭ばかりになるという。
日本に家族ができる体験へ
ホスト先は、赤ちゃんや小中学生の子どもがいる家庭から、1人で暮らす高齢者の家庭までさまざまだ。生徒たちは、それぞれの家庭で普段の生活を共にしながら、気仙沼で暮らす人の温かさに触れた。
バスの運転手、アテンドとして1週間同行した小野寺弘敏氏は、留学生にとって「日本をより好きになった」「気仙沼を知り、好きになった」「日本に家族ができた」と感じる時間になればうれしいと話した。
ホームステイは、特別な観光体験だけでは見えにくい地域の暮らしを伝える。気仙沼で過ごした1週間は、生徒たちにとって一生の思い出となることが期待される。地域にとっても海を越えた家族の輪を広げる時間になった。
投稿者 熊谷綾 気仙沼DMC KNEWS