学び・つながる観光産業メディア

JNTO、訪日市場の多様化進む 欧米豪は10年で約3倍、家族旅行も増加

コメント

日本政府観光局(JNTO)は7月22日、メディアブリーフィングを開き、訪日旅行市場の最新動向と今後の重点施策を説明した。2026年上半期の訪日外国人旅行者数は前年同期比2.0%減の2108万4800人となったものの、欧米豪市場の拡大や地方宿泊者数の増加など市場の多様化が着実に進展していると報告。出口まきゆ理事は「欧米豪市場の構成比が拡大し、訪日旅行市場の多様化が着実に進んできている」との認識を示し、今後も成長が続く欧米豪市場や高付加価値旅行を重点にプロモーションを強化する考えを示した。

欧米豪市場が成長 「日本人気」が追い風に

出口理事は、2026年上半期の訪日客数について、「前年を下回る月もあったが、全体としては堅調に推移している」と説明。韓国、台湾、香港など東アジア3市場や東南アジア6市場は多くの月で前年同月を上回り、6月は15市場で6月として過去最高を更新した。一方、中国市場は2025年12月以降、前年同月を下回る状況が続いているとした。

そのうえで、市場構成の変化に注目し、「欧米豪市場からの訪日客数は2015年から2025年までの10年間で245万人から703万人へ約3倍に拡大した。構成比も12.4%から16.5%へ上昇しており、訪日旅行市場の多様化が着実に進んできている」と説明した。背景として、JNTOの重点市場調査で「今後行きたい国」の首位に日本が6カ国で選ばれたことや、世界的な旅行誌で日本や地方都市が相次いで高い評価を受けていることを挙げ、「訪日旅行への注目度や関心が高まっている」と分析した。

出口理事
出口理事

地方宿泊が17市場で増加 米国は旅行消費額首位に

地方誘客についても好調な動きが続く。2026年1~4月の宿泊旅行統計(速報)では、地方部の延べ宿泊者数が17市場で前年同期を上回り、特にカナダや欧州市場では前年同期比110%を超える伸びとなった。出口理事は「地方への宿泊も着実に伸びている」と説明し、地方部への旅行需要が広がっているとの見方を示した。

また、観光庁が公表した2026年4~6月期の訪日外国人旅行消費額は前年同期比0.2%増の2兆5096億円となり、国・地域別では米国が初めて首位となった。訪日外国人1人当たり旅行支出も3.3%増の24万4457円となるなど、高付加価値市場の存在感が高まっている。

米国市場へ「日本ならではのウェルネス」を発信

続いて登壇した海外プロモーション部欧米豪中東グループの熊野次長は、好調な米国市場への新たなプロモーションを紹介した。

2025年の米国からの訪日客数は331万人と過去最多を更新し、今年も前年同期比7.1%増と好調を維持。欧米豪市場の中でも最大の市場であり、一人当たり旅行支出も約34万円と高いことから、「インバウンド拡大のけん引役」と位置付ける。さらに2026年は米国建国250周年を契機とした「日米観光交流促進キャンペーン」が展開されることから、JNTOとしても広告やメディア招請などを集中的に実施する考えを示した。

熊野次長は、米国で広がるウェルネスツーリズムについて、「現在はヨガやスパだけではなく、伝統文化体験や地域住民との交流、自然の中で過ごす時間など、心と身体を満たす『Beyond Spa』の考え方へ変化している」と説明。その上で、「日本の旅は伊勢参りなどの祈りや湯治文化を起源とし、禅の精神性や食文化なども含め、世界に十分訴求できる独自のウェルネスコンテンツを持っている」と強調した。

「ニッチな目的地」から「家族旅行の目的地」へ

出口理事は、欧米豪市場では旅行スタイルにも変化が表れていると説明した。同行者の調査では、一人旅の割合が減少する一方、家族・親族との旅行が増加。また、0~9歳、10~19歳の訪日客数の伸び率は全体を上回っていることから、「日本はニッチな目的地からスタンダードな目的地へ変化し、家族連れで安心して訪れる旅行先として受け入れられるようになってきた」と分析した。今後も市場の多様化を進めながら、地方誘客や高付加価値旅行の拡大につなげていく考えを示した。

取材 ツーリズムメディアサービス代表 長木利通

/
/

会員登録をして記事にコメントをしてみましょう

おすすめ記事

/
/
/
/
/