昭島市は7月20日、昭島市郷土資料室で「アキシマクジラ化石発見65周年記念企画展関連講演会」を開催した。群馬県立自然史博物館の木村敏之氏が、アキシマクジラの発見から新種認定までの研究の歩みや、地域で受け継がれる価値について紹介した。
講演会は小学生向けと一般向けの2部構成で開催し、2部合わせて約130人が参加した。参加者は約200万年前に生息していたクジラ化石の発見や研究成果への理解を深めた。
アキシマクジラ発見から研究までの歩み
アキシマクジラが発見されたのは1961年8月20日。多摩川河原の現在のJR八高線多摩川橋梁付近で、田島政人氏と芳夫氏の親子によって発見された。
その後の発掘では、台風による増水が迫る中、限られた時間で慎重な作業が進められた。化石は非常にもろかったため、周りの地層の母岩ごと石膏で覆い、固めて運び出す方法(プラスタージャケットとも呼ぶ)で発掘された。
その後の研究で、背骨や肋骨が連続して残り、胸びれの骨も生前の配置に近い状態で保存された世界的にも貴重な標本であることが分かっている。
木村氏は、保存状態や発見時の条件など複数の要素が重なり、現在の研究につながっていると説明した。
化石がつなぐ地域の記憶
講演では、研究成果だけでなく、アキシマクジラをめぐる地域の記憶についても紹介された。
会場には、発見当時4歳だった田島芳夫氏や、当時の発掘作業の現場にいた人も参加した。
化石の発見から65年の時を超えて語り継がれていることから、アキシマクジラは研究資料だけでなく、地域の歴史を伝える存在となっている。
昭島の街に息づくクジラ文化
現在、アキシマクジラは昭島市の象徴として、マンホールや駅前モニュメント、くじらロードなどに図案化されて街の各所に取り入れられている。
研究対象であると同時に、市民が地域への誇りとして大切に受け継ぐ存在になっている。
未来の研究者へ受け継ぐ知識
講演会では、将来、化石研究者を目指す高校3年生から質問も寄せられた。
木村氏は、化石への興味を大切にしながら、生物学や化学、計測技術など周辺分野にも関心を広げる重要性を語った。
200万年前のクジラ化石が、現在の研究につながり、さらに未来の探究者へ知識を受け継ぐきっかけになっている。
企画展「過去と未来をつなぐアキシマクジラ」は10月24日まで開催している。
情報提供:昭島市郷土資料室
https://www.akishimaensis.jp/
投稿者:印南幸恵(いんなみ・ゆきえ)東京山側DMC_地域創生マチヅクリ事業部