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JNTO、第29回インバウンド旅行振興フォーラムを開催 欧米豪の成長が焦点

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日本政府観光局(JNTO)は9月3日、地方自治体や観光DMO、観光産業事業者などの賛助団体・会員を対象にした「第29回JNTOインバウンド旅行振興フォーラム」を東京・品川の品川プリンスホテルで開催した。2日間の日程で、初日は会員約500人が参加。全世界26都市の海外事務所長らが一堂に会し、欧米豪の成長を焦点に、各市場の最新動向や4月に策定した訪日マーケティング戦略を紹介した。

消費額は過去最高9.5兆円、欧米豪が牽引

観光庁国際観光課の馬場課長

初日は、観光庁国際観光課の馬場課長が「訪日インバウンドの現状とこれからの国際観光戦略」と題して登壇した。2025年のインバウンド消費額は前年比16.4%増の9.5兆円と過去最高を記録し、今年上半期も前年同期比1.3%増の4.8兆円と堅調に推移していると説明。訪日客数も過去最多を更新している。

特徴として挙げたのが、欧米諸国からの訪日者の伸びだ。2019年と比べて欧米からの訪日者数は74%増加し、訪日者全体に占める割合は約13%から約17%に高まった。消費額でも、欧米市場が全体に占める割合は2019年の17%から26%へと拡大している。馬場課長は、日中関係を背景に中国からの観光客が減少するなかでも、インバウンド市場の多様化が進んでいる点を強調した。

観光の経済効果にも言及。定住人口が1人減ると年間約145万円の消費が失われるが、訪日客1人あたりの平均消費額は約22.9万円で、約6人の訪日客が定住人口1人分の消費を補う計算になるという。訪日消費額を輸出分野に置き換えると、自動車産業の17兆円に次ぎ、半導体関連の9兆円を上回る規模になると述べ、インバウンドが地域経済を支える役割を数字で示した。

リピーターが地方誘客の鍵に

地方誘客では、リピーターの存在が鍵になると説明。アジア市場はリピーター比率が高い一方、欧米市場は初訪日が多い。訪日回数が増えるほど地方部のみを訪れる割合が高まり、6回目以上では3割を超えることから、リピーター獲得が地方誘客を進める上で重要になる。

今年3月に策定した第5次観光立国推進基本計画では、インバウンドの数だけでなく、訪日客の3分の2をリピーターにすることや、地方部での宿泊数の大幅な増加、消費額の拡大といった質的な目標を重視。地方誘客などのオーバーツーリズム対策を柱の一つに初めて位置づけたほか、「住んでよし、訪れてよし」に加えて「働いてよし」の観光産業の実現を盛り込んだ。2030年に訪日客数6,000万人、消費額15兆円の目標は維持している。

馬場課長はアウトバウンドにも触れ、2025年の出国日本人数は6年ぶりに2,400万人を超えたものの2019年の約7割の回復にとどまると説明。日本のパスポート保有率は約19%で、保有率が50%を超える米国や6〜7割の韓国と比べて著しく低いとして、海外旅行の機運を高める取り組みも進める考えを示した。

生成AIが変える旅行者の情報収集

JNTOの竹中企画総室長

続いて、JNTO企画総室の竹中氏が「インバウンド促進に向けたJNTOの取り組み」と題して講演。4月に公表した新たな訪日マーケティング戦略を紹介し、市場ごとにターゲットを見直したうえで、欧米豪は初訪日層の拡大、東アジア・東南アジアはリピーター拡大と地方分散に注力する方針を示した。高付加価値旅行や、アドベンチャートラベル・ガストロノミーツーリズムを柱とする市場横断戦略、MICE戦略の3部構成となっている。

竹中氏が最新トレンドとして取り上げたのが、生成AIによる旅行者の行動変化だ。旅先を決める情報収集の段階で、検索エンジンや口コミサイトからChatGPTやGeminiなどの対話型AIに相談する旅行者が増えているという。米国の調査では旅行者の39%、ミレニアル世代では58%が生成AIを利用しており、日本の観光情報がAIに参照・推薦されるための取り組みが重要になると指摘。有用性・信頼性・独自性を重視したコンテンツ制作とSEO対策の継続を挙げた。

一方、旅行への憧れを生むインスピレーションの段階ではSNSや動画の影響力が引き続き大きく、特にショート動画に注力していると説明。SNS広告を活用し、まだ日本を旅行先として検討していない潜在層にリーチする重要性も語った。

各国市場の解説やガストロノミーの議論も

初日は基調講演に続き、シンガポール、フィリピン、インドネシア、タイ、インド、ベトナム、マレーシア、米国、カナダ、メキシコの各市場について、海外事務所長が最新動向とプロモーション施策を解説。夕方には「ガストロノミーツーリズム〜地域資源の掘り起こしとストーリー化〜」をテーマに、ゲストスピーカーを招いたパネルディスカッションも行われ、地域の食文化資源の発掘と磨き上げの手法が議論された。

会場ではJNTO海外事務所長や本部各部の担当者との個別相談の機会も設けられた。世界的な動きとして、2024年の国連総会で2027年を「持続可能で強靭な観光」の国際年とすることが決定されており、JNTOは各国の観光当局と知見を交流しながら、持続可能な観光の実践を進めていく。

取材 ツーリズムメディアサービス特任記者 西川佳克

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