冷凍カレーの製造と公園内フードコートの運営を手掛けるウィル(名古屋市)は10月30日、使われなくなった公共施設を子どもが遊びながら食を学べる「食育ラボ」に再生する官民連携モデルを発表した。2037年までに全国1500施設への導入を目指し、同日から自治体や指定管理者、企業パートナーの募集を始めた。
同モデルは、建物を壊さず、閉鎖した公園施設や公民館の喫茶室・調理室、廃校などを食育の拠点に変える仕組みだ。維持費だけが出ていく施設を、使用料と雇用を生む「歳入源」へと転換する。4つの体験エリアを備える大型の旗艦拠点となる第1号については、候補地と共同事業者を募っている。
来園者の半数が1時間未満で帰る公園を学びの場に
全国の遊休公共施設は、未活用の廃校1951校や公民館1万3031館をはじめ、約1万5000に上る(文部科学省の調査を基にした同社推計)。一方、総合公園では来園者の半数が1時間未満で帰り、園内で食事をした人は6.2%にとどまる(国土交通省「令和3年度都市公園利用実態調査」)。
2026年5月に改正された食育基本法と、6月決定の第5次食育推進基本計画は、地域での食の学びを求めている。食育ラボは、校外学習や親子教室の受け皿として、この施策を地域で形にする狙いだ。
工場見学からマイスパイス体験まで一日で
食育ラボは4つの体験エリアで構成する。見学できる食品工場、29品目のアレルゲンを使わない子ども向けカレーやハラール・ヴィーガン対応メニューをそろえた5業態のフードコート、工場直送の物販、そしてスパイスの香り体験やカレーの歴史クイズ、自分だけのスパイスを調合して持ち帰る「マイスパイス体験」などを楽しめる屋内遊び場だ。家族の一日が、そのまま食を学ぶ一日になる。健康への効果・効能はうたわず、食文化や歴史、食の多様性を伝える。
導入は直営と指定管理者による展開のほか、鉄道・デベロッパーや地域の飲食・食品企業、社会福祉法人、JA・道の駅などとのフランチャイズで約1300施設を想定する。1500施設が整えば、年間300万人の子どもが遊びながら食を学ぶ機会を得る計算だという(同社試算)。都市公園法の設置管理許可やPark-PFI、行政財産の目的外使用許可など既存の制度で導入できる。
万博出店の自社工場カレーを核に
同社は2026年4月、ぎふワールド・ローズガーデン(岐阜県可児市)で閉鎖していた飲食スペースを5業態の「ウィルフードコート」に転換して開業した。食育体験コーナーを併設したこの店舗が「中型」モデルの第1号にあたり、体験の需要を実測しながら型を仕上げている。
カレーはFSSC 22000やハラール、ヴィーガンの認証を持つ自社工場で製造し、2025年の大阪・関西万博にも出店、米国へも輸出している。同社は構想に共感する自治体や公園管理者、指定管理者、飲食・食品・教育・観光事業者、JA・道の駅、金融機関・投資家を広く募る。問い合わせは同社(TEL052-901-1780)まで。